鉄とガラスで構成された現代的なアトリウムで行われる京都駅ビル薪能 |
舞囃子《屋島》装束付 シテ 分林道治
杉信太朗 飯田清一 河村大
古橋正邦 河村博重 橋本光史 田茂井廣道 梅田嘉宏
狂言《清水》シテ 茂山千三郎 アド 網谷正美
後見 鈴木実
能《賀茂》シテ 片山九郎右衛門
前ツレ 大江広祐 後ツレ 橋本忠樹
ワキ 宝生欣哉 アイ 鈴木実
杉信太朗 飯田清一 河村大 前川光範
後見 青木道喜 分林道治 大江信行
地謡 古橋正邦 河村博重 味方玄 片山伸吾 橋本光史 田茂井廣道
この171段の大階段が観客席に。どこかローマの古代劇場を思わせる。 |
フューチャリスティックな空間にそびえる巨大階段を観客席に見立てた駅ビル薪能は、いかにも京都らしい、伝統と革新に満ちたイベントだ。
こちらに戻ったらぜったい行きたいと思っていたから、大迫力の舞台に大・大満足!
とはいえ、この日の演目は雨降らしの《賀茂》。
開演1~2時間前にはゴロゴロッと雷が鳴りだして、けっこう本降りの雨となった。
このままいくと中止かなあ……なんて思っていたら、サウンドチェックが始まるころには雨も止んで、夕風が涼しい薪能日和に。
いつもながらの九郎右衛門マジックだろうか、天候の変化さえも、舞台演出のように思えてくる。
あの雷雨は、別雷神からの祝福のしるしだったのカモ。
この薪能では開演直前に簡単なリハーサルが行われるので、一般客もその様子を拝見できる。ファンにとっては、うれしい特典だ。
袴姿の味方玄さんが水たまりをよけながら、大階段後方で音響チェックをしたり、九郎右衛門さんが全体の指揮をしながら、御自分でも謡ったり、舞ったり。
けっこう和気あいあいとしたムードで進行していく。
リハーサルでは、地謡と杉信太朗さん以外は、みなさん私服(九さまの私服姿を初めて拝見した)。
私服だと紋付袴よりも身体の線や骨格の動きがより鮮明にわかるから、興味津々で見入ってしまう。
やっぱり、筋肉が凄いなあ。稽古と舞台によって打ち鍛えられた、しなやかで弾力のある鋼の身体。あの美のもとは、強靭な筋肉なのだ。
宝生欣哉さんも、装束をつけていると華奢に見えるけれど、実際は胸板が厚くて、腕や足腰もガッシリしていらっしゃる。
薪能のメンバーは、たぶん……同日、観世会館で行われた公演からほとんどそのまま京都駅に移動してきはったんですね。
欣哉さんはこの日、三番目の舞台。みなさん、タフ。
舞囃子《屋島》*装束付
面・装束をつけての上演なので、ワキの出ない半能のような形式。
こういう薪能は、おそらく能にあまり馴染みのない人への普及が主目的だろうから、面・装束をつけたほうがお能らしい豪華さ・華やかさをアピールできるし、道行く人を思わず立ち止まらせて、舞台に引きこんでいくパワーが格段にアップする。
カケリやキリは修羅能の醍醐味がギュッと詰まっていて、分林さんのダイナミックな舞とともに、見応えがあった。
舞囃子終了後、大階段には最上部まであふれんばかりに観客がひしめいていて、すごい熱気。
狂言《清水》
網谷さん、うまいなー。
軽みと渋みのある、いぶし銀の味わい。
シテが武悪面をつけたとき、わたしの後ろにいたお子さんが「うわん、こわい~」と泣き出してしまい、それがなんとも可愛かった。
能《賀茂》につづく
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