……では何をもって「能の音」なのか。
私が考えるのは、能の囃子は物語ってはならない、
つまり音楽であってはならないということ。
シテ方の舞と同じように、囃子もあくまでも「抽象の音」でなくてはなりません。
打ったその音よりも、むしろ音と音のあいだにある間(ま)こそ大切です。
間があるから、見る側の心がそこに入り込む余地ができる。
能は、演じるだけで完成するものではないのですから。
――亀井広忠
"It could be said that the image of Yugen―― a subtle and profound beauty――is like a swan holding a flower in its bill." Zeami (Kanze Motokiyo)