2020年3月25日水曜日

船場ビルディング ~大大阪時代のモダン建築⑨

船場ビルディング、1925年、村上徹一
ビルの中に一歩足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んでくるのが、ヨーロッパの路地のようなレンガ敷きの中庭。
竣工当時からこの建物は、住居空間とオフィス空間が共存するユニークなビルだった。




ビルの入り口。
トンネルのような廊下を抜けると、明るく開放感のある中庭に出る。



現在もデザイン事務所やアート工房などのテナントが入り、空室待ちがあるほどの人気のオフィスビルとなっている。

昭和初期を舞台にした朝ドラのロケに使えそうなおしゃれな造り。




中庭には4階までの廊下が面している。
緑の植栽が並木道のようで居心地がいい。




日差しを浴びながら、風通しのいいベンチに座ると、公園でくつろいでいるような気分になる。



船場は日本の経済・流通の中心地として栄えた。
この中庭も元来、トラックや荷馬車などを引き込むために設けられたという。

ある意味、かつての「用の美」が現代人の好みにマッチした好例ともいえる。現代のマンションにもこういうデザイン性が取り入れられると、都市空間ももっと素敵になるのではないだろうか。




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