2020年3月24日火曜日

高麗橋野村ビルディングと新井ビル ~大大阪時代のモダン建築③


高麗橋野村ビルディング、1927年、安井建築事務所

三井住友銀行大阪中央支店の斜め向かい、堺筋沿いに建つ高麗橋野村ビルディング。
設計は昭和初期のモダニズム建築家、安井武雄。

一見すると、各階がミルフィーユのように折り重なった洋菓子のような建物だが、よく見れば、お香の薫りがするような東洋的なテイストもふんだんに盛り込まれている。




高麗橋野村ビルディング正面玄関
たとえば、このビルの正面玄関。
両脇の柱には竹の装飾をあしらい、柱の上にはイスラム教のシンボルである三日月の照明がのっている。

東洋風の煉瓦や軒瓦、格子窓など、オリエンタルな雰囲気が漂う。





新井ビル、1922年、河合浩蔵
新井ビルは、1922(大正11)年、報徳銀行の大阪支店として建てられた。報徳銀行は昭和初期の金融恐慌で倒産、その後、舶来雑貨商の新井末吉が建物を取得して承継会社を営み、戦後はテナントビルとして使われてきた。

1階は石積風の外壁、2階以上にはタイルが貼られている。
建物全体のデザインは正面中央に列柱を配し左右対称に構成した新古典主義的様式だが、細部の装飾にはセセッション的な幾何学意匠が見られる。




簡素な建物に華やぎを添える最上階のメダリオン。




2階以上はタイル張り。
装飾も幾何学的に簡略化されている。





現在、新井ビルは「船場近代建築ネットワーク」に加入し、コンサートなど各種イベントを開催しているという……。

行きたいなあ、楽しそう。
早く、いろんなイベントに自由に参加できる日が来るといいな。





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