2020年3月23日月曜日

三井住友銀行大阪中央支店 ~大大阪時代のモダン建築②


三井住友銀行大阪中央支店、1936年、曽禰中條建築事務所
大阪証券取引所からのつづき。

北浜の堺筋沿いに建つのが、正統な新古典主義様式の三井住友銀行大阪中央支店だ。
イオニア式柱頭で飾られたジャイアントオーダーの列柱を配した威風堂々たる佇まいが、昭和初期の大大阪の繁栄をいまに伝える。



正面列柱上のメダリオン

正面列柱上のメダリオンには、蛇と杖の紋章。
この杖は、ギリシャ神話のヘルメスがもつ「降霊の杖」であり、冥界との交信を可能にする魔法の杖とされる。

ヘルメス思想を原点にもつフリーメーソンの匂いがぷんぷんする。
神秘思想と秘密結社、そして金融業界。
それらのかかわりを暗示するヘルメス主義のシンボルが刻まれている。




破風の下にも、イオニア式の飾り。
歴史の風格を感じさせる。







面格子はどこか障子を思わせる和風のデザイン。

設計者の中條精一郎は、この建物が竣工した年に亡くなり、同じく設計者の曽禰達蔵も翌年に他界した。
だからこの銀行建築は、近代建築を牽引した曽禰中條の形見ともいえる。






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