近くまで用事で来たので梨木神社へ。
「萩の宮」といわれるだけあって、10月末でも名残の萩が。
にゃんこもお出迎え。
鳥居の向こうに鎮座(?)するマンション |
なんでも、神社の修繕費の捻出に苦労した結果、参道を定期借地権化して、その賃料を修繕費に充てたのだとか。
致し方ないのかもしれないけれど……。
「上田秋成翁終焉の地」 |
寂びれた趣のある上田秋成の歌碑 |
この歌碑を見て思い出すのが、『雨月物語』のなかの「浅茅が宿」のワンシーン。
故郷を離れ都に上っていた男が、7年ぶりに家に帰り、美しい妻と涙の再会を果たす。妻と一夜を過ごして目覚めてみると、家は荒れ果て、床の敷板の隙間からは萩が高く生えていて、そこから朝露が落ちてくる。そこで初めて、妻は待ち続けた夫に会えないままこの世を去り、幽霊となって自分の前に現れたことを男は知るのだった。
男が夢から覚めた時に見た廃屋の情景が、この境内の景色と重なり、「昔の人の偲ばるるかな」の歌が、物語のなかの夫の思い、妻の思いと重なって、『雨月物語』の香りがほのかに漂ってきます。
湯川秀樹の歌碑 |
「千年の昔の園もかくやありし 木の下かげに乱れさく萩」。
昔の物理学者は教養豊かで、歌も詠んだのですね。
いまでも、科学者の歌人はたくさんいらっしゃいますが、わたしの母校ともゆかりの深い方なので、なんだかうれしい。
湯川秀樹は、梨木神社の「萩の会」の初代会長だそうです。
境内には、俳句の書かれた短冊が萩の木に掛けられています。
茶室「虚中庵」 |
ここでは、名水「染井の水」で茶が点てられるとのこと。
御神木「愛の木」 |
ハート形の絵馬がたくさん掛かっていました。
神楽殿の向こうには、本殿が。
マンションはショッキングでしたが、観光客の姿はなく、静かで心が落ち着く神社でした。
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