桜紅葉が散り残った晩秋の白川。
狂言《墨塗》大名 茂山千作
太郎冠者 茂山茂 女 茂山千五郎
後見 島田洋海
能《海士》海士/龍女 片山九郎右衛門
藤原房前 片山峻佑
ワキ 福王知登 是川雅彦 喜多雅人
アイ浦の男 茂山逸平
後見 河村博重 味方玄
地謡 武田邦弘 古橋正邦 分林道治 片山伸吾
田茂井廣道 大江信行 橋本忠樹 梅田嘉宏
国際交流基金が主催しているだけあって、観客の7割以上が外国籍の方々。
狂言と能それぞれの終演後、何人かに感想をうかがったところ、狂言については、"It's interesting!""It's so simple, but so nice!" 能については、"It's so beautiful! I LOVE this art!!" といった感想が多く、かなりの好感触。
問題となる言葉の障壁に関しては、《墨塗》と《海士》の英訳シノプシスと、1960年に出版された『JAPANESE NOH DRAMA』から抜粋された《海士》のあらすじと詞章の英訳&詳しい注釈の英訳が配布され、外国籍の方々も、古語で書かれた詞章の意味がよく分からない日本人ビギナーと同じような状態で鑑賞できたのではないかなー。
狂言《墨塗》は言葉の意味は分からなくとも、あらすじさえ押さえておけばビジュアル的に可笑しみが伝わるから、良い選曲だった。
茂山家の芸風も、笑いのツボを全身で表現する上方的笑劇の要素を多分に含んでいて、声もよく通って大きいし、外国人受けしやすいように思った(ふだんよりも演技に誇張が加わったように感じたけれど、それは致し方ないのかも→山本東次郎さんなら目くじらを立てるだろうけど)。
このところ、千作さんの体調が悪そうなのがちょっと気になる。かなり無理をして舞台に立っていらっしゃるのかもしれない。
ところで、愛知県の岡崎信用金庫が毎月発行している『Monthly Report(経済月報)』11月号を観世会館でいただいた。
40ページ以上にわたり、片山家と京舞井上流の特集が組まれていて、信用金庫の広報誌としては異例の扱い。
九郎右衛門さんと井上八千代さんのそれぞれのロングインタビューのほか、今年7月に催された能装束・能面展の展示品の一部図版、能の歴史や曲の解説など、驚くほど充実した内容だった。
こんなにすばらしいメセナ活動をする信用金庫が愛知県にあるんですね。
めちゃくちゃ、イメージアップじゃないですか。
こういう企業や金融機関が増えてほしいな。
能《海士》につづく
0 件のコメント:
コメントを投稿