番外舞囃子《龍田》シテ 梅若雄一郎
斉藤敦 上田敦史 中田一葉 山本寿弥
番外仕舞《猩々》 梅若基徳
ブログの更新がなかなか追いつかず、片山九郎右衛門さんの《海士》や梅若万三郎の《井筒》など、アップしたい記事が諸々あるけれど、とりあえず記憶が新しいうちに、行ってきたばかりの西宮能楽堂(梅若基徳さんの社中会「梅基會」)の記事から掲載します。
1階ロビー
昨年12月に竣工した西宮能楽堂。
外装も内観もコンクリート打ち放しで、東京で言うと、青山にある銕仙会の能楽堂に近い感じだろうか。
銕仙会と同じく、こちらも玄関で履物を脱いで上がるシステム。
館内には、能をテーマにした絵画が何枚か飾られていた。
見所は2階。
上の画像は、2階ロビーから観た踊り場と外の風景。
こちらが能舞台。
真新しい檜舞台には、遷宮を終えたばかりの神社のような清らかな美しさがある。
舞台の高さは、脚の膝くらい。
鎌倉能舞台や代々木能舞台など、これまで体験した至近距離の舞台では床の上にじかに座ってみるパターンが多かった。
しかしここでは、椅子に座って鑑賞するため、ほかの能楽堂とは視点の高さや演者を観るアングルが異なる。
至近距離から演者を見上げるというよりも、演者を同一平面上で観ているような感覚。
鑑賞の未体験ゾーンに踏み込んだ感じだ。
とにかく、演者の舞や息遣いがド迫力で感じられる。
番外舞囃子では、シテや囃子方さんたちの若いエネルギーが炸裂し、あふれんばかりの気迫がダイレクトに伝わってくる。
シテの梅若雄一郎さんの神楽は、繊細端麗な梅若らしい舞で、惹き込まれる。
つぼみがほころびかけた時分の花の美しさ。
若手囃子方成長株の揃ったお囃子も素晴らしく、神楽の笛も小鼓の神楽地も良かったし、太鼓も見事。
そして、気力の充実した山本寿弥さんの大鼓がとりわけ魅力的だった。
社中の方もうまい方が多く、とくに《歌占》の舞囃子を舞った女性がお世辞抜きで凄かった。舞だけでなく謡もうまく、プロとしても十分通用すると思うくらい。
休憩時間にその方とロビーでお会いして、舞を拝見して感激したことをそのままお伝えすることができてよかった。
鏡板の勇壮な老松。
梅若だけに、蕾のついた「梅」も存在感を放っていた。
写真に撮るのを忘れたけれど、能舞台正面にはもちろん、「橘」の家紋。
関西で「梅若」の香りを感じられる場所だ。
高窓からは自然光が射しこむ。
時間や季節の移ろいによって光の加減が変化し、さまざまに表情を変えていく能舞台。
なんとなく、東中野の梅若の能楽堂を思わせる。
新しいけど、どこか懐かしい。
橋掛りの松には、松ぼっくりがついていて、可愛らしい。
これに飾り付けをしたら、クリスマスツリーになりそう。
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