《老松・紅梅天女イロエノ働キ》からのつづき
国立能楽堂恒例の豪華な巨大鏡餅 |
狂言《大黒連歌》シテ大黒天 大藏吉次郎
アド参詣人 善竹富太郎 大蔵教義
藤田次郎 住駒匡彦 柿原弘和 桜井均
地謡 大蔵彌太郎 禅竹十郎 宮本昇 大蔵基誠
「狂言→能」という上演順序が一般的ですが、
今回は初公演ということで、「脇能→脇狂言」という順番になり、
囃子方も入ってお正月らしい、目出度く華やかな舞台となりました。
二人の男が比叡山の三面大黒天にお参りに行き、連歌を奉納すると、
大黒天が現れ、宝の袋と打ち出の小槌を与えるというお話です。
参詣人の二人が扇を広げて膝前に置き、手を合わせる所作は、舞のように美しい。
たぶんこれは、坐する相舞なのですね。
「あらための年のはじめに大黒の」
「信ずる者に福ぞ賜る」
二人が連歌を捧げると、不思議なことに、御殿のなかが振動し、大黒天が現れ、みずからの由来を物語ります。
――延暦寺は伝教大師(最澄)と桓武天皇が建立し、三千人の衆徒を置き、その守護神を安置しようとしたところ、大黒天が現れ、三千人の衆徒を守る奇特を示すため三面六臂に変身したという。
幕が上がり、囃子に乗って現れた大黒天。
ぷっくりとした福耳の大黒面に大黒頭巾を被り、派手な紅地の法被をつけ、福袋を背負って、打ち出の小槌を手にしたその姿は、サンタクロースを思わせます。
大黒天は、インドのマハーカーラ(シヴァ神)が仏教に取り込まれ、日本に来て、大国主信仰と習合したもの。
もしかするとサンタクロースも、マハーカーラが西洋に渡り、キリスト教の聖人信仰(もとは多神教的な土着の信仰)と習合して根づいたのかもしれません。
サンタクロースは、日本のなまはげとの類似性も指摘されていて、人間が求める神・精霊の特徴って、わりとどこでも似ているものなんですね。
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