2016年9月15日木曜日

東京能楽囃子科協議会定式能・九月夜能~舞囃子《巴》・狂言《三本柱》など

2016年9月14日(水) 18時~20時50分   国立能楽堂
舞囃子《巴》 金春安明
   中谷明 幸信吾 亀井実
   地謡 本田光洋 辻井八郎 本田芳樹
      金春憲和 本田布由樹

一調《籠太鼓》浅井文義×亀井俊一
一管《鷺》 一噌仙幸→休演

狂言《三本柱》 野村萬
    野村万蔵 河野佑紀 野村虎之介
      槻宅聡 大倉源次郎 柿原弘和 桜井均

能《融・笏之舞》友枝昭世
  ワキ宝生欣哉  アイ能村晶人
  松田弘之 鵜澤洋太郎 國川純 観世元伯
  後見 中村邦生 狩野了一
  地謡 香川靖嗣 粟谷能夫 粟谷明生 長島茂
     佐々木多門 内田成信 友枝雄人 金子敬一郎




わたしも含めて、囃子科協議会定式能デビューという方が多かった模様。
友枝昭世効果は凄い!
自由席しかとれなかったので早めに行ったらすでに長蛇の列 Σ(゚口゚;
好みの席に座れてラッキーだったけど、席種別全席指定制のほうが有り難い。

とはいえ終演後にロビーで、くまもん募金箱をもつ可愛らしい能楽師さん発見(飯冨孔明さんかな?)。義援能に行けなかったので願ってもない機会だった。




舞囃子《巴》
中谷明師の笛が聴けてよかった!

もちろんCDでしか聴いたことがないけれど、わたしは寺井政数の笛を偏愛していて、その芸風をもっともよく受け継ぐ中谷明師の笛も(こちらももっぱらCD『室町の仮面劇』で聴くだけだけど)とても好き。
この日は全盛期を思わせる冴えた音色で、こちらもうっとり幸せな気分。



舞囃子のシテは、謡にも芸風にも独特のクセのある金春流宗家。
あまり積極的に拝見することはなかったけれど、さすがは一流派の長だけあって、観ているうちにしだいに引き込まれていく。

どの瞬間にも途切れなく気が漲っていて、女武者・巴の凛とした精神性と溶け合っている。

「汝は女なり、しのぶ便りもあるべし」という義仲の言葉(地謡)を、正先に両手をついて、お辞儀をしたままじっと聞き入る場面はことさら美しく、彼女の胸に去来する複雑な思いを想像させる。


金春流って上手い人でも肩の線が角張っていたり、肩が上っていたり、首が前に出ていたりするのがどうも気になるけど、好みの問題かもしれない。



狂言《三本柱》
チラシには掲載されてなかったから、囃子陣が豪華でビックリ。
ちょっとしたサプライズ。
こういうのも囃子方主催の公演ならではでしょうか。


狂言については、
三人がそれぞれ担ぐ柱の扱いに、芸の差がおのずと出てしまう。

実際には軽い小道具の柱を持ち上げる時、
万蔵さんは筋肉の張り方、顔の表情、腰の入れ具合などによって、本物の木柱に見合うだけのずっしりした重量感を感じさせる。


茶道の世界でも、「重いものは軽く、軽いものは重く持て」とよく言われるけれど、それを実際に表現するのがいかに難しいかは、あとの二人を見ればよくわかる。


この日は小望月。
大きな満月にススキという河野さんの肩衣の柄が素敵だった。



東京能楽囃子科協議会九月夜能 《融・笏之舞》前場につづく




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