2018年6月28日(木)18時~20時35分 最高気温30度 大槻能楽堂
能《東北》シテ 高林昌司
ワキ 喜多雅人 アイ 中川力哉
貞光智宣 成田達志 山本寿弥
後見 高林白牛口二
地謡 高林呻二 佐藤寛泰 佐藤陽 谷友矩
狂言《柿山伏》小西玲央 禅竹隆司
後見 禅竹隆平
舞囃子《胡蝶》シテ 金春飛翔
野口眞琴 成田奏 山本哲也 中田一葉
地謡 金春穂高 佐藤俊之
仕舞《藤キリ》シテ 石黒空
地謡 辰巳満次郎 辰巳孝弥
居囃子《東岸居士》
貞光智宣 成田奏 山本哲也
地謡 大槻文蔵 大槻裕一 浦田親良 寺澤拓海
東京、大阪、京都の夏は暑さの質がそれぞれ違っていて、大阪の夏はムシムシ蒸し暑い! はじめて行った大阪能楽養成会の発表会は、時間帯・立地的に仕事帰りの人も多く、老若男女でにぎわっていて、湯気が立ち昇るような熱気。
体調は最悪だったけど、拝見するうちに疲れも吹っ飛び、徐々に回復していった。やっぱり行ってよかった!
それにしても大槻能楽堂は、東京の宝生能楽堂に比肩するほど音響がいい。エコーがかかっているのかと思うくらい。
能《東北》
「京都の喜多流」と思っていた高林家は、なぜか大阪養成会の所属。能楽師さんの所属関係って複雑だ……。
シテの高林昌司さんは謡がわりと個性的で、節というか、音程が独特なのだけれど、舞と所作にかんしてはかなり凄い!
おいくつだろう? と、喜多流のサイトで調べてみると、なんとまだ20代前半! 面装束をつけて、これだけ品格のある序ノ舞物を舞えるとは、ちょっと驚き。
きっと基礎(土台)がしっかりしているのだろう、そのうえで、
袖を巻いたり被いたりする袖の扱いも巧みで、随所に決めていたし、序ノ舞の位取りも《東北》にふさわしいように見受けられた。何よりも舞に人を惹きつけるチカラがある。
それから印象に残ったのは、貞光智宣さんの笛。
貞光家の笛を東京で聴く機会はほとんどなかったけれど、ほんと、ひと口に森田流といっても、家々でずいぶん違う。貞光さんの笛は京都の杉家の笛とは異なり、ブワンブワンしたうねるような感じが東京の寺井家(寺井政数系)に近いように聴こえた。好みの笛だ。
大鼓の山本寿弥さんは打ち方が男らしくてかっこいい。成田達志さんの小鼓と息がぴったり合っていて、よかった!
そして、久しぶりに聴いた喜多流の地謡。喜多流の《東北》って何度聞いても良いなあ(しみじみ)。
(狂言《柿山伏》、とても観たかったのですが、休憩時間がないため自主休憩に充てました……。)
舞囃子《胡蝶》
金春流って数えるほどしか観たことがないけれど、東京の金春流とはひと味違う。
なんというか、より古風で呪術的。
中田一葉さんの魔笛のような笛と相まって、ちょっと妖しげな独特の世界。
金春流の舞にこれほど魅力を感じたのは、はじめてだ。
舞姿の芯がしっかりしていて、そこに大和の地霊が宿っている、そんな舞だった。
仕舞《藤キリ》
辰巳満次郎さんの地謡、なつかしい~っ!!
石黒空さんの舞は、腰を落として重心をとても低くした、いかにも宝生流らしい舞。
九月の研究発表会では《経政》のシテを舞われるそう。
後見・地謡には満次郎さん・孝弥さんのほかにも、澤田宏司さん、山内崇生さん、辰巳大二郎さん、辰巳和麿さんが参加される予定とのこと。楽しみ!
居囃子《東岸居士》
《東岸居士》は未見。成田奏さんの解説にあるように、難曲(ナングセ)のクセ舞の場面からの演奏。解説に従って、言葉や謡の節に注目して拝見する。
なるほどー、とくに「身に於いて作る罪なり」のところとか、節や謡の高低が難しそう。
大槻裕一さんのシテの謡はさすが。
関西の若手は少数精鋭、うまい人、凄い人が多い。
成田奏さんの小鼓は気迫が充実していてエネルギーに満ちている。
山本哲也さんとの大小鼓の掛け合いに見所も吸い寄せられるように聴き入り、不思議な一体感ができていた。
お能が好き!という純粋な気持ちがつなぐ一体感。
熱くて、ひたむきで、栄養ドリンクよりも活力を与えてくれる良い会だった。
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