京都には「六道の辻」の石碑の立つ場所がいくつかあります。
そのひとつが、ここ、清福寺。
西福寺は、弘法大師御作の「子育地蔵尊」が祀られているお寺。
能《熊野》に出てくる「六波羅の地蔵堂よと伏し拝む」の「地蔵堂」が、このお寺ではないかと思っています。
つまり熊野は、先日紹介した六波羅蜜寺あたりの平宗盛邸から花見車に乗り、四条五条の橋を行き交う老若男女貴賤都鄙の姿を眺めながら鴨川沿いを北上。
そこから右折して、この子育地蔵(西福寺)に至り、地蔵尊を伏し拝みます。
こちらは不動明王。
弘法大師御作の地蔵尊は、無数の石仏に囲まれて、不動明王の向かって左側に安置されていました。
おそらくこの石仏たちは、その昔ここが葬送の地・鳥辺野への入り口だったころ、人々が死者を弔うために、卒塔婆とともに立てたものかもしれません。
西福寺だけでなく、六波羅蜜寺にも六道珍皇寺にも、摩耗して風化した石仏たちが境内の片隅に数多く安置されていました。
この辺りが六道の辻だったころの、いにしえの通りの姿が偲ばれます。
この寺の石仏たちも、水子供養のため赤い前掛けをつけ、ずらりと並んでいて……見ているだけで悲しく恐ろしい気分になり、写真を撮るのは控えて、ただ手を合わせました。
西福寺の斜め向かいにあるのが、幽霊の子育て飴で知られる「みなとや幽霊子育飴本舗」。
お店の前に張られた由来によると;
慶長四年、妻を亡くしたばかりの男が、妻の墓から泣き声がするので掘り返してみたところ、妻が産んだ赤ん坊を見つけた。その子が父親に発見されるまで、夜な夜な飴を買いに来る女がいたが、子どもが掘り出された後は、ぱたりと来なくなったという。子どもは8歳で出家し、のちに高名な僧となる。
この店の飴は「幽霊子育ての飴」と評判になり、薬飴だともてはやされ、今に至るまで京の名物として知られている。
ということらしい。
幽霊子育飴は、麦芽水飴と砂糖を原料にした琥珀色の飴。
これをお湯で溶かし、ショウガを加えて冷やすと、夏に美味しい冷やしあめになるそうです。きっと滋養があるんですね。
冷やしあめは大好きなので、夏になったら試してみます。
0 件のコメント:
コメントを投稿