2018年5月19日土曜日

幽謳会春季大会

2018年5月13日(日) 京都観世会館

素謡《卒都婆小町》
舞囃子《江口・甲ノ掛》《西行桜・彩色》
素謡《朝長》《当麻》
舞囃子《養老・水波ノ伝》《誓願寺・乏佐ノ翔》

番外仕舞《岩船》 片山九郎右衛門



三年ぶりに訪れた幽謳会。
あらためて番組を見てみると、千家十職や老舗扇屋当主、京都名門企業の方々など、京都の名家・名士のお名前がズラリ(十松屋さんのワキ謡、プロ並みだった)。
いろんな意味で、見応え・聴応えのある会でした。

九郎右衛門さんは当然ながら地頭に出ずっぱりで、この地謡が凄かった!
素浄瑠璃、いや、素語りのように、地謡だけで一つの芸として十分に人を惹きつけ、感動させることができるくらいの見事な「気」と「技」の充実度。

やっぱり、能の土台、基礎は、地謡なんだ。
土台がしっかりしていないと、素晴らしい舞台を築くことはできないのだと、改めて実感する。


いつも思うことだけど、九郎右衛門さんはどんな時にも気を抜かず、一曲、一曲に誠心誠意、ひたむきに向き合う。素人会でも玄人会でも分け隔てはない。


曲に的確な解釈を施しつつ、気力と魂を込めて謡う謡には、曲中の主人公の魂も宿っている。
とくに《朝長》の終曲部には、謡に朝長自身の霊が乗り移り、地頭である九郎右衛門さんの分身が朝長と一体になったような、迫力と臨場感に圧倒され、魂が震えた。

今月初旬に東京で《朝長》を舞ったときの身体感覚・昂揚感を、そのまま地謡に注入し移し替えたような、体温のぬくもりと熱い血流を感じさせる地謡だった。







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