能《翁》 翁 片山九郎右衛門
千歳 分林道治
三番三 茂山千五郎 面箱 島田洋海
笛 杉信太朗
小鼓頭取 曽和鼓童 胴脇 古田知英 手先 成田奏
大鼓 石井保彦
後見 味方玄 梅田嘉宏
狂言後見 茂山茂 網谷正美
地謡 青木道喜 橋本光史 田茂井廣道
深野貴彦 橋本忠樹
仕舞《難波》 金剛永謹
地謡 金剛龍謹 今井克紀 豊嶋晃嗣 宇高竜成
今年を逃すと、八坂神社での九郎右衛門さんの《翁》は2年後になるから、拝見できてよかった!
朝方の雨はいったん止んだものの、開演前にまた降りはじめたり、雪に変わったりと、変則的なお天気。
それでも、切り火の赤い火花が散り、面箱が登場し、九郎右衛門さんがあらわれて橋掛りを進むころには、雲間から青空がぱあーっとのぞいて晴れてきた。
九郎右衛門さんの翁パワーでしょうか。
(そして不思議なことに、翁帰りのころには再び雪に。)
九郎右衛門さんの《翁》は、セルリアンタワーの15周年記念で拝見したことがあるけれど、こういう由緒ある神社で(しかも本殿や神々の社に正対する能舞台で)執り行われる神事としての《翁》には、ホテルの地下舞台で行われる《翁》とはまた違った、格別の趣きがある。
(もちろん、音響や空調は屋内能楽堂のほうが良く、セルリアンタワーの《翁》もとても感動的でした!)
それを最も強く感じたのが、正先での拝礼です。
京の人々の想いや願いを一身に背負い、細胞のひとつひとつにまで敬虔な祈りを込めて、目の前の神々に捧げる一礼。
その姿そのものが何にもまして尊く、畏敬の念さえ湧き上がる。
こちらの身も心も、洗い清められていくような気がします。
それと、あの翁の型の、左袖を被くところ。
一輪の白梅がほころぶように、香りと色気がふんわり漂う。
(こんなことを書いたら不謹慎かもしれないけれど)九郎右衛門さんの翁には、なにかこう、独特の色気がある。
厳粛ななかにある、やわらかさ、たおやかさ。
この色気は、「祇園さん」と呼ばれるこの神社に捧げる《翁》にふさわしい。
三番三は、大地を踏み固め、踏みしめ、踏み耕す「揉之段」と、小ぶりの鈴で地道に、着実に種をまく「鈴之段」がやはり神事に似つかわしく、大地に力強くしっかりと根を張った舞だった。
〈追記〉
奉納中は夢中で拝見していたけれど、終わってみると、凍死しそうなほど体が凍りついていた!
(防寒体制は万全だったはずなのに。)
冬の京都は、半端なく寒いっ!!
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