2018年1月7日日曜日

京都能楽会 新年奉納

2018年1月1日 12時30分~13時50分   平安神宮 神楽殿

朱塗りの建築に、御簾を透かした日差しと影が美しい
(神楽殿内部は撮影禁止のため、中から外を撮影)

能《翁・日吉式》翁 大江又三郎
   千歳 浅井通昭 三番三 茂山忠三郎
   笛 杉信太朗 小鼓 武村英敏 林大輝 林大和 大鼓 渡部諭
   地謡 井上裕久 河村晴道 吉浪嘉晃 大江広祐

舞囃子《高砂》シテ 金剛龍謹 
   ワキ 原大
   笛 左鴻泰弘 小鼓 曾和鼓堂 大鼓 井林久登 太鼓 前川光長
   地謡 廣田幸稔 豊嶋晃嗣 嶋崎暢久 惣明貞助

仕舞《田村クセ》 深野貴彦
  《東北キリ》 味方玄
  《猩々》   松野浩行
   地謡 橋本擴三郎 片山伸吾 河野浩太郎 宮本茂樹

仕舞《八島》   種田道一
   地謡 豊嶋幸洋 今井克紀 山田伊純 重本昌也 

小舞《三人夫》茂山あきら 茂山宗彦 茂山千三郎
   地謡 茂山千五郎 茂山七五三 茂山逸平 茂山童司

舞囃子《嵐山》河村晴久
   笛 森田保美 小鼓 林吉兵衛 大鼓 石井保彦 太鼓 前川光範
   地謡 青木道喜 浦田保親 河村和貴 大江泰正




観世会館を出て、初詣客でにぎわう平安神宮へ。
演者・観客とも掛け持ちする人も多く、こんなふうにみんなでぞろぞろ歩いて移動するのがなんだかおもしろい。
立ち並ぶ屋台に誘われ、「おいしそう!」とつぶやく能楽師さんも。


神楽殿では、前方は茣蓙に座り、後方は立ち見。
「死ぬほど寒い」という前情報により、雪ダルマレベルの着ぶくれ+カイロ6枚貼りの重装備だったので、幸い、そんなに寒くはなかったです。

なによりも驚いたのは、観能史上・最至近距離で拝見できたこと。
装束の文様の細かい部分はもとより、袖についたシミの形までよく見える! 
舞手が正先でサシコミをすれば、扇の先がコツンと当たりそうなほど。
舞台との段差もあまりないため、同じ舞台上で拝見している気分になる。

祭壇両脇のぼんぼりの明りが、厳粛な雰囲気を醸し出していて素敵でした。



《翁》の「日吉式」というのは、日吉大社のひとり翁にちなんでつくられたそうです。
(日吉大社が古くは「ひえ大社」と呼ばれたため、「日吉式」も「ひえのしき」と読むとのこと。)
翁も三番三も面はつけず、鈴之段はカットされ、囃子方は床几に掛けない。
また、通常は翁一人が正先で拝礼をしますが、日吉式では、翁・千歳・三番三の三人で礼をします。

要するに、日吉大社のひとり翁に、お囃子と三番三の揉之段をプラスしたのが《翁・日吉式》、ということでしょうか。

浅井通昭さんはもう中堅くらいの方かしら。初めて拝見しましたが、千歳の舞にみずみずしい勢いがあって、見応えがありました。

それから、大鼓の渡部諭さん。
謡初式でも出演されていましたが、片膝を立てて打つ揉み出しがシャープに決まってカッコよかったです。



舞囃子《高砂》
前川光長師の早打ちが華麗に冴えわたり、太鼓でときめいたのは、ほんと久しぶり。
先ほどの観世会館の《高砂》の太鼓は光範さん。
元旦から前川父子の太鼓が聴けたのは、耳福でした!



仕舞《東北キリ》
仕舞では、やはり味方玄さんが印象深い。
舞扇は金地で、表は華やかな紅梅、もう片面は清楚な白梅。
紋付の袖口からチラリとのぞく緑地の柄襦袢がさりげなくおしゃれ。
至近距離から観られる「場」を想定して、細部まで気を抜かない。

舞も、最初から最後まで意識の行き届いた緊張感に包まれ、その集中力の高さと持続に圧倒される。
氷に閉ざされた寒梅の、張り詰めた冷たさを連想させる。
こういうところが味方玄さんの魅力なのかも。



元旦の平安神宮





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