2016年2月5日金曜日

国立能楽堂2月企画公演 復曲再演の会 復曲狂言《若菜》

2016年2月3日(水) 13時~15時30分    国立能楽堂

節分の日の国立能楽堂中庭

復曲狂言《若菜》シテ大名 山本泰太郎 
     太郎冠者 山本則俊 次郎冠者 若松隆
         小原女 山本則孝 山本則重 山本凜太郎 寺本雅一 山本則秀
     松田弘之 鵜澤洋太郎 柿原光博 小寺真佐人
     後見 山本東次郎

復曲能《菊慈童・酈縣山(てっけんざん)》シテ慈童 梅若紀彰
                ワキ魏の文帝の臣下 森常好
                ワキツレ周の穆王の官人 舘田善博
                ワキツレ輿舁 梅村昌功 大日方寛
                ワキツレ魏の文帝の臣下 森常太郎 野口能弘
                アイ菊花の精 高野和憲
             松田弘之 鵜澤洋太郎 柿原光博 小寺真佐人
        後見 梅若長左衛門 松山隆之
           (梅若玄祥と小田切康陽は休演)
        地謡 山崎正道 馬野正基 角当直隆 永島充
           山中迓晶(物着後見と兼任) 
           坂真太郎 谷本健吾 川口晃平



自分にとっての能閑期もようやく終わり、久しぶりの能楽鑑賞。
歌舞伎もいいけれど、やっぱり能楽堂の雰囲気は何ものにも代えがたい。

この日は復曲再演の会で、狂言・能ともに演者が大人数の豪華版。


まずは、復曲狂言《若菜》
上演時間45分の大曲で、途中からお囃子も入り華やか。

大名と2人の家来が春の野に出て酒宴を楽しんでいると、
5人の小原女たちが「小原木」という売り物の薪を掲げながら登場します。

「小原女」と「大原女」ってどう違うの?って思っていたら、
こちらに大原女と小原女の違いが載っていて分かりやすい。


ざっくりいうと、大原から来た行商女が大原女で、
八瀬から来た行商女が小原女らしい。
出で立ちも若干違っているようで、大原女は着物を短く着て膝を出し、
小原女は膝を出さずに着るようです。


狂言《若菜》の小原女たちもビナン鬘に、
それぞれ鮮やかな色とりどりの縫箔を着流で着つけていました。

小原女の素朴で若々しい生命力と、しっとりと女らしい物腰から
そこはかとない色気が漂ってくる。

大名一行は、小原女たちを酒宴に誘い、
ご当地ソング「小原木」や小謡「雪山」、能「二人静」の替謡などを
謡い舞う。
(「やんや、やんや」と間の手を入れるところが面白い!)



この酒宴の様子がとくにドラマティックな展開のないまま40分近く続くため、
冗漫ともいえなくもないのですが、この冗長さが本曲の味わいのひとつ。
春の気だるいのどかさがよく伝わってきます。


小原女たちが酒宴をあとにして帰っていくときに、
太郎冠者の則俊師が彼女たちを名残惜しげに引きとめる場面が印象的。

ひとときの酒宴のなかで芽生えた淡い恋心も
春の雪のように儚く消えてゆく。

そうした余韻が楽しめる曲でした。


最後のシャギリ留も、どこかせつなく、甘酸っぱい。




国立能楽堂2月企画公演 復曲再演の会《菊慈童・酈縣山(てっけんざん)》につづく

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