2016年1月17日日曜日

壽初春大歌舞伎・夜の部 《猩々》《二条城の清正》

2016年1月2日~26日   歌舞伎座

夜の部開場前の歌舞伎座

ロビーには紅白繭玉や大凧の新春飾り

、猩々
猩々 梅玉 酒売り 松緑  猩々 橋之助
長唄囃子連中

二、秀山十種の内 二条城の清正 吉田絃二郎作
二条城大広間の場   淀川御座船の場
加藤清正  幸四郎
大政所   魁春

豊臣秀頼  金太郎
井伊直孝  松江
池田輝政  廣太郎
斑鳩平次  錦吾
浅野幸長  桂三
藤堂和泉守 高麗蔵
本多佐渡守 彌十郎
徳川家康  左團次


三、玩辞楼十二曲の内 廓文章(吉田屋)近松門左衛門原作
藤屋伊左衛門  鴈治郎
吉田屋喜左衛門 歌六
阿波の大尽   寿猿
おきさ     吉弥
扇屋夕霧    玉三郎

竹本連中 常磐津連中

四、雪暮夜入谷畦道(直侍)浄瑠璃「忍逢春雪解」黙阿弥作
片岡直次郎  染五郎
三千歳    芝雀
暗闇の丑松  吉之助
寮番喜兵衛  錦吾
丈賀     東蔵

清本連中
 



久々の歌舞伎座。
近松の上方和事と黙阿弥の江戸世話物が観たかったので夜の部へ。
新春らしく豪華な顔ぶれで見どころの多い舞台だった。


まずは《猩々》
能を観るようになり、原曲を知ってから《道成寺》や《三番叟》など歌舞伎流に翻案されたものを見えると意外性や発見があって、これまでとは違った楽しみ方ができるようになる。

この《猩々》も、そのひとつ。

舞台後方には、長唄囃子連中がずらり。
傳左衛門さんがド真ん中で目立つ、目立つ。


舞台中央には酒瓶が置かれ、
まずは酒売りの高風(松緑)が現れて名乗り、それまでのいきさつを語ったのち、能舞台でワキ座にあたるところで床几に掛かる。


そこに、二匹の猩々(梅玉、橋之助)が現れ、高風に柄杓で酒を注いでもらったり、みずから大盃で酒を汲んで飲んだりしながら、陽気に踊り出す。


能と同じく、首を振ったり、足を蹴り上げたりするのだけれど、テンポが速い!

ほかにもコサックダンスのような、軽妙複雑な足遣いが随所にあって、難度が高そう。
(途中で高風が躍り出す場面も。)


能と同じく中盤に太鼓入り中之舞の囃子が入るので、なんだかホッと懐かしい気分になる。


《猩々》も歌舞伎になると、いっそうリズムが軽快で、ヴィジュアル的にも華やか。





秀山十種の内《二条城の清正》
昭和8年初演で、秀山こと初代吉右衛門の要望で書き下ろされた作品。
幸四郎にとってはお家芸ともいえる演目で、今回は孫・金太郎との共演。


この金太郎くんが凄かった!
終始、目が釘付けになるほどのオーラと存在感。
天才子役とかいうレベルではなく、もうれっきとしたプロ。
秀頼役として貴公子然と端座するその佇まい、表情、間の取り方、発声など、すべてにおいて子役としての甘えが一切なく、ほかの大人の歌舞伎役者とともに弛みのない舞台を、一人の歌舞伎役者として立派につくりあげていた。


清正役の幸四郎の「上様、御凛々しゅうおなりになりましたな」という熱いセリフには実感が。
(これほど花形歌舞伎役者の資質に恵まれた孫に、もうぞっこんで、メロメロになっているんだろうなーと思わせるような、幸四郎の清正なのでした。)


金太郎の秀頼の「爺、いつまでも生きていてくれ、20年も、30年も生きてくれ」に、大きくうなずく清正役の幸四郎。
こういうのも孫との共演でやるからセリフが生きてくる。


幸四郎の清正には、ラ・マンチャがかなり入っていたかも。




壽新春大歌舞伎・夜の部 《廓文章》《雪暮夜入谷畦道》につづく





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