2015年7月30日(木) 11時~18時 国立能楽堂
番外独鼓 《羽衣》 松山隆之 清水和音
《高砂》 鵜澤光 飯冨孔明
番外素囃子 《天女之舞》
竹市学 田邊恭資 原岡一之 梶谷英樹
舞囃子
《鶴亀》 梅若紀長→梅若万三郎
一噌康二 社中の方 高野彰 吉谷潔
《熊坂》 山中迓晶
竹市学 社中の方 安福光雄 梶谷英樹
《羽衣》 北浪貴裕
一噌康二 社中の方 原岡一之 梶谷英樹
《定家》 清水寛二
竹市学 社中の方 安福光雄
(休憩)
能 《橋弁慶》 シテ 武田文志 トモ 佐川勝貴
アイ 野村又三郎 野口隆行
笛 帆足正規 小鼓 社中の方 大鼓 大倉栄太郎
後見 松木千俊 坂井音晴
(休憩)
番外舞囃子 《石橋・獅子》 馬野正基
竹市学 大山容子 原岡一之 吉谷潔
独鈷(小鼓は社中の方)
《鵜之段》 佐久間二郎
《松虫》 山中一馬
《敦盛》 宇高竜成
《融》 工藤寛
舞囃子
《百万》 坂井音晴
帆足正規 社中の方 高野彰 吉谷潔
《二人静》 鵜澤久 鵜澤光
一噌康二 社中の方 高野彰
《当麻》 岡久広
竹市学 社中の方 安福光雄 吉谷潔
独鈷
《巴》 辰巳満次郎
《蝉丸》 前田親子
《半蔀》 津村禮次郎
《笠之段》 高橋章
舞囃子 《邯鄲》 浅見慈一
竹市学 社中の方 安福光雄 吉谷潔
《三井寺》 津村禮次郎
一噌康二 社中の方 安福光雄
《歌占》 松木千俊
一噌康二 社中の方 高野彰
番外一調 《善知鳥》 観世銕之丞 大倉源次郎
《勧進帳》 岡久広 古賀裕己
(地謡出演シテ方)
佐川勝貴 桑田貴志 小島英明 伊藤嘉章 長谷川晴彦 長山桂三
佐久間二郎 松山隆之 浅見慈一 馬野正基 観世銕之丞 清水義也
北浪貴裕 藤波重孝 下平克宏 岡久広 上田公威 鵜澤久 山中迓晶
清水寛二 津村禮次郎 坂井音晴 鵜澤光
能楽公演の少ない渇いた真夏に恵みの雨ような小鼓方・古賀裕己師の社中会。
舞囃子のシテ方では麻の紋付き率が高く、見所の女性客では紗の着物率が高かった。
目で涼を感じる日本人ならでは。
暑い夏を楽しもう!
盛りだくさんだったので、印象に残ったことなどを以下にメモ。
舞囃子《鶴亀》
近眼なので見間違いかと思ったけれど、
舞台にいらっしゃるのはどう見ても梅若紀長師ではなく万三郎さん。
代役(?)なのかしら。
(うれしいサプライズだけれど、紀長師、どうされたのだろう。)
光源氏が年を重ねたらこんなふうに舞うのかと思わせる典雅な舞姿。
生まれや育ちからして常人と違うような気がする。
一噌康二師も復帰されていてひと安心。
舞囃子《熊坂》
迓晶さん、キレのある長刀さばき。
激しい動きの中にも華やかな品があり、好みの芸風です。
舞囃子《羽衣》
北浪師、ふわりとまとった真っ白な麻の紋付きは羽衣を思わせ、清々しい天女だった。
能《橋弁慶》
シテの武田文志さん、一段とグレードアップされていて、
素人の子方さん相手の難しい役をうまくこなされていた。
又三郎さんの存在感の大きい間狂言も面白い!
そして個人的に大注目は、京都森田流笛方の帆足正規(ほあしまさのり)師。
おそらく80代だと思うけれど、高齢でこれほど姿勢のきれいな囃子方を見たことがない。
肺活量もそれほど衰えず、ややかすれ気味のヒシギを除けば美しい音色。
プロフィールを拝見すると、貞光義次に師事したとのことだけれど、芸系がよく分からない。
田中一次系でもないし、強いて言うと、京都の杉家と東京の寺井家を足して二で割って、
プラスαで何かを加えて、何かをさらに引いたような?
とにかく、現在の東京でよく聴く笛方では近い人はいない。
京大出身で狂言作家でもあるという異色の笛方さん。
中谷明師もたしか東大出身だったかな。
森田流には異色の笛方がいらっしゃるのですね。
東京ではめったに聴けないので、貴重な体験でした。
番外舞囃子《石橋・獅子》
大好きな笛方・太鼓方が抜きんでた《獅子》。
元伯ファンがこんなことを言ってはなんだけど、
こと《獅子》(石橋)に関しては、
笛は藤田流、太鼓は金春流がより華やかでダイナミックになると思う。
竹市さんの笛はシャープでエッジが効いてて、ただただ、かっこいい!
露ノ手の小鼓の静謐な間が美しかった。
独鼓
前半・後半合わせると、四流が出そろった豪華な独鼓。
利き酒ならぬ、「利き謡」を堪能した。
《鵜之段》の佐久間二郎師、うまいですね!
九皐会系というか、観世喜之・喜正系の少し鼻にかかったような独特の謡。
金春流の《松虫》。語尾が少し伸びるようなところが特徴的なのかな。
金剛流の《敦盛》。
宇高竜成師、上手い! 凄すぎる!
思いを須磨の山里のかかるところに住居して
須磨人になりはつる一門の果てぞかなしき
聴き惚れてジーンとくる。
彼の謡から発せられる一言一句が透明な珠のように美しく、
それがひとつひとつ響きながら弾けて、《敦盛》の世界を丁寧に描きだしてゆく。
若いのに、恐るべき実力派。
京都だけでなく、ぜひぜひ、東京でも公演をしてください!
満次郎さんの《巴》と《笠之段》(高橋師と連吟)。
やっぱりこの人の謡はいい!
一時期ちょっと離れていたけれど、また満次郎さんの舞台を拝見しようと思った。
舞囃子《二人静》
鵜澤母子の相舞。
ふつう、若い人のほうが早くなってしまうのに、
こんなにそろった相舞見たことない、っていうくらいそろっていた。
こうやって相舞のお稽古をしながら、師匠の間の取り方や緩急のつけ方を
身体で覚えていくのかしら。
舞囃子《邯鄲》
クリームイエローの麻の紋付に若草色の袴という爽やかな出立の浅見慈一さん。
吉谷&竹市コンビが冴える、冴える!
ただ、盧生が夢から覚める前後の拍子が急転するところが
社中の方には難しかったようで、テンポが遅れて、プロの囃子方と合わず、
吉谷さんがしきりに社中の方のほうを見ながら打ってらっしゃったのが印象的だった。
番外一調
銕之丞氏の大迫力の気合の入った熱唱。
源次郎さんの音色のクオリティが高い!
やはり別格です。
初めて聴く古賀裕己さんの一調。
性格のまっすぐな方なのでしょうか、力みや衒いのないまっすぐな鼓。
心に響く掛け声と岡久広師の渋みのある謡が響き合う……。
楽しい社中会、ありがとうございました!
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