2018年7月18日水曜日

《放下鉾》《菊水鉾》~山鉾能楽シリーズ2

《芦刈山》からのつづきです。

【放下鉾】
放下鉾の名称は、能《放下僧》でもおなじみの僧形の遊芸者・放下僧が天王台(真木中央)に祀られていることに由来します。
別名「州浜(すはま)鉾」と呼ばれるのは、日月星の三光を象徴する鉾頭が州浜の形に似ていることから名づけられたそうです。

稚児人形・三光丸

放下鉾の目玉は、三人の人形方で操られ、まるで生きているかのように稚児舞を舞う稚児人形「三光丸」。
昭和4年(1929年)から祇園祭で使われているといいます。
会所に祀られた三光丸は、たんに可愛いだけでなく、優艶な妖しさをもつお人形。お稚児さんは神の依代なので、そういう独特の神秘性が稚児人形にはあります。




稚児人形用天冠(重要有形民俗文化財)。



天冠と鞨鼓をつけるとこんな感じ。




見送「バグダッド」

懸装品の見送は、染色家・皆川泰蔵作のフクロウが印象的なロウケツ染め「バグダッド」。異国情緒と中世の美意識がミックスされているのが祇園祭の魅力です。

放下鉾は、伝統的なしきたりを守って女人禁制。
女性は会所の2階まで上がることができますが、鉾への搭乗は男性のみ。
神事には聖域が絶対に必要だと思うので、伝統的なしきたりを守る放下鉾のこうした姿勢には大いに賛成。いろいろ圧力があると思いますが、貫き通してほしいです。




【菊水鉾】


菊水鉾の名は、町内にある菊水井に由来します。
菊水井は武野紹鴎の大黒庵にあったとされていることから、宵山の期間にはお茶席が設けられています。



豪壮な唐破風屋根
菊水鉾は唐破風屋根をもつ唯一の鉾。
破風下部の懸魚は、絢爛豪華な金色の鳳凰。
鉾全体に風格が漂います。





菊の御紋が入った車軸。
細部にも贅が凝らされています。

山鉾に使われている車は、源氏車(御所車)のように金輪を嵌めない木造の車輪。現在では、こうした木造車輪の制作・修理に携わる人はごくわずかしかいないといいます。需要自体が少ないため商売が成り立たたないのは致し方ないのかもしれないけれど、なんとか補助金制度などを設けて存続してほしいですね。

ちなみに、宇高徳成さんのブログで知ったのですが、菊水鉾の稚児人形・菊丸さんの着付は金剛流能楽師さんがされているようです。






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