2018年7月14日土曜日

祇園祭ぎゃらりぃ

八坂神社近くの漢字ミュージアムに併設された「祇園祭ぎゃらりぃ」。
ここでは「山鉾の構造がよく見える・手で触れる」というコンセプトで、実物大の山鉾が常設展示されています。

重さ6トン、高さ7メートルの実物大の鉾

実際の山鉾は祭りが終わると解体されてしまうのですが、ここではいつでも実物大の山鉾を観ることができます。




通常、山鉾下層の骨組み(櫓)は、このような胴懸などの懸装品で覆われているのですが、展示では胴懸が片面だけ外されているので、櫓の構造がよく見えます。




釘を一本も使わずに、「縄がらみ」という伝統技法で組み立てられた櫓。
四方転びで筋交いがあり、上から縄がらみをします。
その際、たんに縄で結んだだけではすぐに緩んでくるため、「樽巻き」という特殊な結びで直角方向に巻き付け、縄で接合部分を固定するそうです。

樽巻きにはさまざまな結び方があり、特徴的なものを以下に紹介します。



雌蝶

もっとも大きな両側面の縄がらみを「雌蝶(女蝶結び)」というそうです。
その名の通り、巨大な蝶が羽を広げたような華やかさ!



雄蝶

こちらは正背面筋交い交点の縄がらみ、「雄蝶(男蝶結び)」といいます。
雌蝶よりも少し粗っぽく小ぶりな感じですね。



海老

これはわかりやすい! 見た目通り、海老です。
おめでたい生き物に見立て、実用性と装飾性を兼ね備えた結び方。
よく考えられています。




櫓と筋交いの隅との交点上部の縄がらみは「鶴」。
鶴が翼を広げて飛翔しているイメージなのですが、どうでしょう?




同じく、櫓と筋交い炭との交点下部にある縄がらみは「亀」だそうです。

近くで観ると、精巧な結び目の見事さには目を奪われます。
縄で結ぶだけで、何トンもの山鉾を組み立て、大勢の人々を乗せて通りを長時間巡行するという優れた機能性と、鑑賞に価する高い芸術性。
しかも、巡行中は懸装品に覆われて見えないのに、隠れた部分にもこれほどまでにこだわり抜いた細工が施されているという敬虔な精神性。
加えて、これだけ手の込んだものが祭の終わりとともにすべて解かれて「無」に還っていくという一回性。
この櫓の構造と技法に、日本人の美学と美意識が集約されている気がします。
こういうところが、祇園祭の凄さだと感じます。



櫓の構造



デジタルサイネージ屏風「平成の洛中洛外図屏風」

祇園祭の見どころを六曲一双屏風に見立てた大型モニターも展示。


《小鍛冶・白頭》も登場!

初代長刀鉾の長刀を打ち上げる三条小鍛冶宗近と白狐。
(シテは金剛流の方らしいです。)







190年前の大雨で懸装品が汚損したため現在は「休み山」ですが、復興に向けて動き出す鷹山鉾の新法被。

祭を支える人々にとって法被や浴衣は、とても大切な装束。
とくに神輿を担ぐ男衆は、自分たちは神々に仕える者だという意識が強くあるため、神輿渡御で着用する装束は他のものとは一緒に洗わず、みずから丁寧に手洗いし、箪笥の一番上に大事にしまうそうです。









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