前期2017年10月4日~11月5日 後期11月7日~12月5日 国立能楽堂展示室
備前岡山藩主・池田家に伝来した能楽美術品の数々。
現在、林原美術館に所蔵されているものとは別に、製塩業で財を成した野崎家が明治期以降に池田家から拝領した一大コレクションを東京で初公開するという特別展。
能面の名品・優品が充実していて、能面好きにはたまらない展示です!
まだザッと眺めただけですが、前期展示品のなかで特に目についたのが、以下のもの。(番号は展示番号)
7.娩麗(べんり)、「天下一友閑」、江戸期17世紀
万媚を上品にしたような優婉な女面。
11.増女、「天下一友閑」、江戸期17世紀
17.曲見、「天下一友閑」、江戸期17世紀
19.東来(あずまき)、「天下一近江」、江戸期17世紀
小面を色っぽくしたような印象。
32.長霊癋見、「出目」、江戸期18世紀
左右の瞳の向きが極端に違っていて、右目は斜め下、左目は斜め上を向き。
ユニークな表情。
40.増女、室町期16~17世紀
精神的な奥深さを感じさせる。通常の増と深井の間くらいの年齢に見える。名手の舞台で観てみたい。
49.牙悪尉、江戸期18世紀
下あごに二本の牙。
56.東江(とごう)、江戸期18世紀
喜多流の専用面となった怪士系の男面。
63.弱法師(蝉丸)、江戸期18世紀
通常の弱法師の面のような少年っぽさはなく、壮年の男性の面影。
妻を登場させる、世阿弥自筆本の《弱法師》にぴったり合いそう。
追記:本特別展には、「娩麗」や「東江」、あるいは後期展示の「セイエン」(清艶or凄艶のことかな?)など、聞きなれない名称の若い女面が陳列されているのですが、図版によると、みずから所蔵する小面に池田家がつけた愛称だそうです。各大名家で、愛蔵の名品に固有の愛称をつける習慣があったようです。
そのほか、全期を通じて展示される能人形「高砂」付き能舞台や、和漢図貼交屏風(源氏物語+漢画+能絵の屏風)など、見応えたっぷり。
千駄ヶ谷に行く機会ごとに、覗いてみようと思います。
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