2018年3月1日木曜日

復曲狂言《浦島》~国立能楽堂二月企画公演

2018年2月28日(水)18時30分~21時 国立能楽堂

復曲狂言《浦島》シテ浦島 野村又三郎
   アド孫 野村信朗 アド亀の精 奥津健一郎
   地謡 奥津健太郎、野口隆行 伴野俊彦

能《玉井・竜宮城》シテ豊玉姫 梅若紀彰
   海龍王 梅若実(玄祥改め)玉依姫 川口晃平 
   彦火々出見尊 福王和幸
   栄螺の精 野村又三郎 鮑の精 松田高義
   板屋貝の精 藤波徹  蛤の精 奥津健太郎
   法螺貝の精 野口隆行
   杉信太朗 大倉源次郎 國川純 観世元伯→小寺真佐人
   後見 梅若長左衛門 小田切康陽 山中迓晶
   地謡 観世喜正 山崎正道 鈴木啓吾 角当直隆
      佐久間二郎 坂真太郎 中森健之介 内藤幸雄




復曲狂言《浦島》は、野村又三郎家に伝わる番外曲だそうです。
これがめちゃくちゃ面白かった!

又三郎さん、やっぱり、うまいなー。
御子息の信朗さんもカマエや発生などの基礎がしっかりしていて、頼もしい。
とにかく、心から楽しめました。


お話は、老人になった浦島太郎が孫と海辺に出て、孫が釣りをしているところから始まります。 
お伽噺の「浦島太郎」の後日談ではなく、ふつうに加齢で年老いた浦島太郎が主人公。

又三郎さんのおじいさん役が、もうノリノリ!
腰を思いっきり低くして、前かがみになって、足取りをヨロヨロさせながら、老人姿を形態模写されるので、身体的にはかなりきついはずですが、おそらくご本人は心から楽しんで演っていらっしゃるのでしょう。
それがこちらにも伝染して、浦島太郎おじいさんが観ているだけでとっても楽しくて、幸せな気分になります。
なにかこう、芸に温かみがあるんですよね。


孫が「大物を釣り上げた」と言って、浦島太郎のところへ亀を抱えて持ってくるのですが、ここでは甲羅の形をした笠が亀の代わり。
この笠、《隅田川》で使われるものと同じなのか、それとも特注なのか、丸みの形がほんとうに亀の甲羅そっくり。

亀を食べちゃおう、と言う孫に、浦島太郎は亀の祟りの恐ろしさを聞かせます。
その昔、天竺の提婆が殺生を繰り返し、おびただしい数の生き物を殺した挙句、その締めくくりに亀を殺そうとしたところ、大地にのみ込まれてしまった……。

祖父の話になった孫は、亀を海に放すことに。
このとき、太郎じいさんは「腰痛を治してほしい」と亀に願掛けをします。

孫が、亀に見立てた笠を手放して床に置くと、見えない糸(釣糸?)が笠についていて、うまい具合に、シューッと橋掛りを通って、幕の中に入っていきます。
(このときの様子が、なぜか、わたしの笑いのツボにはまってしまい、隣の人と一緒に大爆笑!)


後半は亀の精が登場。
助けてくれたお礼にと、きれいな蒔絵の箱を浦島太郎に授けます。

太郎が恐る恐る箱を開けると、サーッと白い煙が立ち上り(←ここは、白い縒水衣をかぶることで表現)、

白い水衣を被った又三郎さんは、(たぶん衣の影で)マジックのようにサッと老人の面を取って箱に納め、白い衣を剥ぎ取ると、そこには直面姿の青年(中年?)が!


浦島太郎の若返りというオチなのですが、こういう玉手箱ならほしいよね。






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