2016年12月3日土曜日

味方團 青嶂会大会

2016年12月3日(土)   9時30分始    セルリアンタワー能楽堂
ロビーのクリスマスツリー
番外仕舞《忠度》   味方團
      《若布刈》 樹下千慧
      《谷行》   河村浩太郎

舞囃子《須磨源氏》《船弁慶》《天鼓バンシキ》《養老 水波ノ伝》
     シテはいずれも社中の方
     天鼓の地謡 林喜右衛門 林宗一郎 味方團 武田祥照
     杉信太郎 後藤嘉津幸 原岡一之 林雄一郎

番外仕舞《隅田川》 味方健
      《東方朔》 林喜右衛門
             林宗一郎

上記以外の出演シテ方
松野浩行 河村和晃 山崎正道 角当直隆 武田祥照
そのほか、能《巻絹・神楽留》、番囃子《邯鄲》、素謡・仕舞・独吟・独調など豪華な会。



先月は体調を崩して、せっかくの能繁期なのに個人的プチ能閑期 (T_T)
まだ恢復しないけれど、短時間だけ行ってきました。
林一門の社中会は番外仕舞が充実していて嬉しい。



番外仕舞《忠度》
味方團さんは仕舞を何度か拝見していますが、能を舞うに際してハンディとなるスラリとした長身体型をどう工夫して持ち味に変えていくのか、ということに非常に興味があります。

忠度と六弥太との合戦シーンには闘うことの虚しさのような憂愁が漂い、六弥太を押さえつけるところや箙から短冊をとって読み上げるところなど、型がとても美しい。

とりわけ静止する型に手足の長さが生かされ、人を惹きつける端麗な造形になっていた。
以前よりも肩の力が抜け、下半身もさらに安定し、より洗練された印象。

この方にしかできない、細身長身を生かした現代的なスタイルと造形美を観た気がした。



 
番外仕舞《和布刈》《谷行》
脇能と切能のそれぞれキレのいいアクロバティックな仕舞。
樹下さんと河村浩太郎さんの舞は2年前の東西合同研究発表会以来、年に何回か拝見しているが、どちらもこれからが楽しみなシテ方さんだ。



舞囃子
社中の皆さんとても御上手で、とくに《養老・水波之伝》を舞われた方が素晴らしかった。

笛の杉信太朗さんがお風邪でも召されたのか苦しそう。
笛方は鼻・喉をやられるとほんとうに大変です。

先月につづいて後藤嘉津幸さんの小鼓が聴けてうれしい。
先日とは違いやはり空気が乾燥しているのか、この日は頻繁に息をハーハー吹きかけて、皮の湿り気を保つよう腐心されていた。

原岡さんの大鼓、けっこう好きなのです。
フォームは忠雄師譲りの、ドライブの効いた見事な打法。
掛け声も、忠雄師の若い頃のCDの掛け声とよく似ている。
広忠さんよりも、忠雄師の芸風を忠実に受け継いでいらっしゃるように思う。


地謡は《天鼓》がとても良く、武田祥照さんが加入されていたけれど、これぞ林一門の謡(片山家ともちょっと違う)と思わせるような地謡(東京の地謡とは、少し違う。とくに山崎正道さんが地謡に加わると、一気に梅若っぽくなって、ああ、違うんだなーと感じる。)



番外仕舞《隅田川》
比較的さらりとした隅田川。
先日の味方健師の《定家》はどんな感じだったのだろう。
《定家》のチラシ、素敵だった。



番外仕舞《東方朔》
喜右衛門師の御壮健な姿を舞台で拝見できただけで来た甲斐があった!

わたしが観能歴二週間くらいの最初期に拝見したのが、林喜右衛門・宗一郎の番外舞囃子《乱・双之舞》で、とても印象に残っている。

そのときは父子それぞれの「間」の取り方や舞のリズム・テンポの違いが際立ち、どちらかといえば、喜右衛門師に目が釘付けだった。

でも、この日は、宗一郎さんの舞姿に目が釘付けに。
もちろん、もともと上手い方だけど、3年のうちに芸にさらに磨きがかかり、冷えた透明感のある品格が備わってきた。
西王母のまろやかさを感じさせつつも、どこか氷のような冷たさがあるのが、この方の魅力だと思う。

宗一郎の会の《井筒》、都合がつかなくて拝見できなかったのがとても残念。
明日(12月4日)には、林定期能で《弱法師》を舞われるという。
好い舞台になるのは間違いないだろう。



このあと、能《巻絹・神楽留》や番囃子《邯鄲》、仕舞、素謡、味方團・慧父子の番外仕舞などがあったのですが、体調がまだ良くないので失礼しました。







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