2015年3月1日日曜日

国立能楽堂企画公演「働く貴方に贈る」~実演解説と狂言《文山立》

              

実演解説・能に見る道具の扱い
                                 
最初に観世喜正さんが切戸口から登場されて、本日の演目をざっと解説したあと、
味方玄さんが登場し、能《巴》の見どころとなる長刀や扇の扱いを実演。


巴が床几に座って仕方話をしながら足拍子を踏み、扇で右脇をバンバン打つ型をするのは、
(木曽義仲が)泥田に足をとられた馬の手綱を握って、鞭を振るいながら
懸命に抜け出そうとする様子を再現しているとのこと。


また、橋掛りのほうから攻めてくる敵の軍勢に応戦するため、
巴が観客(正面席)に背中を向けて、長刀を振るいながら橋掛りを進み、
敵を追い散らす場面も味方さんが実演してくださいました。

(角当直隆さんと山崎正道さんが地謡に入り、
中森健之介さん(かな?)が後見をされていました。)


なるほどー。
こんなふうに事前に実演を混じえて解説してくださると、
初めて観る曲でも分かりやすいですね。


私の大好きなシテ方さんたちだったので、よけいに楽しかった!


喜正さんも玄さんもトークが上手く、まだまだ話し足りないようでしたが、
時間が押していたらしく、最後は巻き巻き。


実演のシテ方さんが切戸口をくぐり終えるか終えないうちに、
いきなり狂言方の声がして、すでに橋掛りを歩いてきているのにはびっくり!
(国立の担当スタッフにせかされた?)




狂言・大蔵流《文山立》

乱能《土蜘蛛》の頼光とワキだったお二人。
(乱能のインパクトが強いので、当分は乱能の時のイメージと重なってしまいます(笑))


《文山立》は果し合いをしようとする2人の山賊が、結局は死ぬのが怖くて仲直りをする
他愛のないお話なのですが、臆病なところや不甲斐のなさを互いに認め合い
最後は手をつないで仲良く帰っていく、ほのぼのとした狂言です。


残酷で非道な暴力が国内外で横行している今日この頃、
おそらく戦乱に明け暮れた時代を生きた昔の人も、
みっともなくとも平和な生き方を望んだのかもしれない
などと思ったことでした。









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