2019年4月13日土曜日

京都能楽養成会 平成三十一年度第一回研究発表会

2019年4月10日(水)17時30分~19時 京都観世会館
雨の白川、名残りの桜

仕舞《田村クセ》 湯川稜
  《花月キリ》 向井弘記
  《国栖キリ》 惣明貞助
 地謡 山田伊純 辻剛史

舞囃子《芦刈》 河村和晃
 左鴻泰弘 吉阪一郎 河村裕一郎
 地謡 片山九郎右衛門 梅田嘉宏
    河村浩太郎 樹下千慧

舞囃子《経正》 樹下千慧
 左鴻泰弘 吉阪倫平 河村凛太郎
 地謡 田茂井廣道 梅田嘉宏
  河村浩太郎 谷弘之助

小舞《土車》 柴田鉄平
  《雪山》 茂山竜正
  《宇治の晒》茂山虎真
 地謡 茂山千作
 茂山千五郎 井口竜也

舞囃子《放下僧》辻剛史
 左鴻泰弘 吉阪一郎 河村凛太郎
 地謡 宇髙徳成 山田伊純
 惣明貞助 向井弘記 湯川稜

舞囃子《鵜飼》河村浩太郎
 ワキ謡 原陸
 左鴻泰弘 吉阪一郎 河村裕一郎 前川光範
 地謡 田茂井井弘道 河村和晃
    樹下千慧 谷弘之助



大神神社の後宴能に行こうか迷ったけれど、冷たい雨のため養成会の発表会へ。出演能楽師さんのなかには三輪さんと掛け持ちの方もいらして、大変そう。。。
でも、鳥肌が立つような舞台が拝見できたから、こちらにしてよかった!


舞囃子《芦刈》 
河村和晃さんの舞は初めて拝見する。
謡が素敵で、キリリとした舞。恰幅のいい方なので男舞がすっきり似合う。直面物だし、年齢的にもシテの日下左衛門と重なる部分があり、すんなりと曲のなかへ入ってゆける。

地頭は片山九郎右衛門さん。昨年の後援会能の《芦刈》を思い出す。シテで舞った時と、地謡で謡った時とでは、こちらの見える世界が違ってくる。
吉阪一郎さんと河村裕一郎さんの大小鼓の息も合っていて、良いお囃子だった。



舞囃子《経正》 
凄い! 

シテの樹下千慧さんの舞は、わたしが東京にいた頃からだから、かれこれ4年以上は拝見しているだろうか。はじめて観た時から上手い方だと思っていたが、伸び盛りの若竹のような成長ぶりには目を見張る。東京でいうと、武田祥照さんを観た時のようなたしかな手応えを感じさせる。

冒頭のシテの謡「いや雨にてはなかりけり、あれ御覧ぜよ雲の端の」からグッと観客の心をつかむ。舞グセで夜遊の面白さを表現したかと思えば、そこから一転、シテが足拍子を力強く踏むと、突如としてただならぬ気配が舞台を包み、シテの様相が豹変。カケリを舞うシテの視線の先に無数の敵が見えてくる。経正の猛り狂うような怒りが凄まじい気となって放出され、紅蓮の炎が雨のようにシテに降りかかる!

この、舞台の空気をガラリと変える足拍子の表現、見えないものを観客の目の前に出現させる力量。凄すぎて、身震いがした。

吉阪倫平さんは弾けるように小気味よい音色。いつもながら、チ・タ音がとりわけきれい。河村凛太郎さんはフォームから掛け声をかけるときの顔の筋肉の動かし方まで、お父様にそっくり。




舞囃子《鵜飼》
河村浩太郎は緩急のついた舞。下半身が安定していて、どの角度からみても、舞の輪郭が美しい。

 
金剛流の舞は流れるような感じで、湯川稜さんの謡と、惣明貞助さんの個性を感じさせる舞、そして《放下僧》の地謡が特に印象に残った。








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