2018年6月7日木曜日

京都・岡崎さんぽ ~ 武田五一の近代建築

京都の近代建築といえば、京大工学部建築科を創立した武田五一。
岡崎界隈には個性豊かな五一の作品がいくつかあって、眼を楽しませてくれます。

まずは、京都観世会館のおとなり、藤井斉成会有鄰館・第一館から。

カメラ目線の狛犬さん

藤井斉成会有鄰館は、藤井紡績の創業者・藤井善助の東洋美術コレクションを収めた私設美術館。
(開館日が月二回、時間も限られているため、残念ながら、わたしはまだ入ったことがありません。)





屋上の八角堂

収蔵された中国古美術コレクションに合わせて、外観にも東洋的モティーフがちりばめられています。

ひと際目を引くのが、屋上を飾る朱色の八角堂。
これも藤井コレクションのひとつだそうです。





藤井斉成会有鄰館、大正15(1926)年、武田五一設計

屋上の八角堂と響き合うように、エントランスのアーチ部分も門柱灯も、八角形をベースにしたフォルム。

幾何学的デザインを好んだ武田五一が、「8」や「八角形」という中国で縁起が良いとされる数字や形を巧みに取り込んで、吉祥性とデザイン性を融合させています。






見事な龍のレリーフ

東洋な趣きを高める豪華な龍のレリーフ。




次は、琵琶湖疎水を渡って、岡崎公園へ。


平安神宮大鳥居、昭和3(1928)年、武田五一設計顧問

平安神宮大鳥居も、武田五一が設計顧問として手掛けたもの。

高さ24メートルの巨大な大鳥居は、笠木の下に島木をつけ、やや反りを加えた明神型。
どっしりと安定して見えるのは、柱と柱のあいだの長さと貫(梁)までの高さがほぼ同じで、鳥居内部の空間がほぼ正方形をしているからかもしれません。




京都国立美術館の2階ロビーから眺めた大鳥居



京都府立図書館、明治42(1909)年、武田五一設計

近代美術館のとなりにある、京都府立図書館
当時の面影を残すのは外壁のみですが、こちらも武田五一の設計。




「京都図書館」の文字も当時のまま

「京都図書館」の文字の上のイチョウの葉のモティーフは、ウィーン分離派の影響ではないかという指摘もあり、ほど良く甘美なデザイン。







金色の縁取りや、ところどころに配された曲線モティーフなど、世紀末的な装飾性が見られるのも特徴です。



通気口もおしゃれ



KBS京都の「京都建築探偵団」で建築家の円満字洋介さんが鑑賞ポイントとして紹介されていたのですが、通気口にも凝ったデザインが施されています。
孔雀でしょうか?

細部にもさりげなく遊び心が生かされていて、やっぱり近代建築は魅力的。







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