2016年1月1日金曜日

梅若謡初之式

2016年1月1日(金)  15時~16時4分   梅若能楽学院会館

一昨年の梅若謡初式の飾り

新年小謡《若》出演者一同
舞囃子《老松》梅若玄祥
舞囃子《東北》梅若長左衛門
舞囃子《高砂》梅若紀彰
舞囃子《弓矢立合》玄祥 紀彰 長左衛門
  松田弘之 鳥山直也 亀井広忠 林雄一郎

連吟《養老キリ》富田雅子 他女流一同
仕舞《羽衣キリ》角当行雄
仕舞《鞍馬天狗》松山隆雄
仕舞《猩々》   井上燎治
連吟《鶴亀キリ》山崎正道 他出演者



注連縄が張り巡らされた能舞台は宗教空間としての色を強め、
冷え冷えとした清浄な空間に身を置くだけで気が引き締まる。


カチカチと切り火が切られ、
切戸口から入った半裃姿の出演者が
地謡座からワキ座までずらりと並んだ様子は壮観。


能楽堂に射し込む傾きかけた陽の光が演者たちの凛々しい顔を照らしながら
特殊な舞台照明のように刻一刻と趣きを変えてゆく。




舞囃子《老松》
少しお痩せになったのだろうか、
お顔が面長になり、下半身が締まって見える。
強い気迫と重厚な謡と舞。
新年にふさわしい神さびた老松の風格。





舞囃子《高砂》
観能を始めてまもない2年前に初めてこの謡初式にうかがった時も
紀彰師は《高砂》を舞われていて、
わたしはその燦爛たる舞姿に心を奪われたのだった。


この日の紀彰師は、ミルクをたっぷり入れた抹茶カプチーノ色の半裃姿。

紀彰師の舞を拝見するのは昨年8月の「紀彰の会」ぶりだったけど、
相変わらず端正で美しい洗練された舞姿。
2月と4月には御舞台もあるので、こちらも非常に楽しみ。

お囃子も、とくに広忠さんと雄一郎さんは猛烈に気合が入っていて、
カッコイイ《高砂》だった。

夢のようにあっという間に終わってしまった。





舞囃子《弓矢立合》
詞章は以下のようなものだそうです。

「釈尊は、釈尊は、大悲の弓の智慧の矢をつまよつて、三毒の眠を驚かし、愛染明王は弓矢を持つて、陰陽の姿を現せり、されば五大明王の文殊は、養由と現じて、れいを取つて弓を作り、安全を現して矢となせり。また我が朝の神功皇后は西土の逆臣を退け、民尭舜と栄えたり。応神天皇八幡大菩薩水上清き石清水、流の末こそ久しけれ。」
    24世観世左近『よくぞ能の家に』(青空文庫)より抜粋



新酒の飲み比べのように三者三様の舞を味わう贅沢な舞囃子でした。

仕舞もベテラン御三方の舞を堪能。
締めには、《鶴亀キリ》の梅若らしい格調高い謡。


謡と囃子と舞で祓い清められた元日となりました。




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