2014年12月27日土曜日

紀彰の会(2)~語り《那須》・仕舞《山姥》

  
すーっと切戸口が開いて、スルスルッと入ってきた東次郎さん。
                      
10月の「満次郎の会」で善竹十郎さんの那須語を聞いたけれど、

同じ大蔵流でも演じ手が変わると雰囲気も変わる。
どちらが好いということではなく、それぞれに味わいがある。
東次郎さんの《那須》語で特に印象に残ったのは、
柳の五衣に紅の袴を着た絶世の美女が、舟のせがいにはさみ立てて、
源氏方がいる陸のほうへ手招きをする場面。
            
柔らかくしなやかなその手の動きにはえもいわれぬ色気が漂い、
男をとろかす傾城の手そのものだった。

            
かと思うと次の瞬間には、青筋を立てて怒り、那須与一を叱咤する判官となり、
また次の瞬間には、神々に一心不乱に祈り、弓を引く青年与一となる。

                      
きりりと引き絞る弓の弾力の表現。
その変幻自在ぶり。
そして、瞬時に場所を変えて役を入れ替わるその俊敏さ・敏捷さ。
まさに超人的。



梅若玄祥師の仕舞《山姥》は、来月の定式能のプロモーション?

              
仕舞だから直面だけれど、面をかけたように恐ろしい形相の山姥。
季節はめぐり、山をめぐる。
終わりのない輪廻。
山という魔界をさまよう鬼女の凄まじさ。
迫力のある山姥だった。

         
膝と腰をだいぶ傷めていらっしゃるのではないだろうか。
おつらそうに見受けられた。
美食家なのか、体質なのか。
ものすごい運動量だと思うけれど、それでもダイエットは難しいのかしら。



                                

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