2017年12月17日日曜日

国立能楽堂十二月定例公演《因幡堂》

2017年12月15日(金)18時30分~20分45分 国立能楽堂

狂言《因幡堂》シテ夫 高澤祐介
       アド妻 河路雅義

能《景清》 シテ 梅若玄祥
    ツレ人丸 馬野正基 トモ従者 谷本健吾
    ワキ里人 宝生欣哉
    杉市和 大倉源次郎 亀井忠雄
    後見 山崎正道 小田切康陽
    地謡 観世銕之丞 浅井文義 西村高夫 柴田稔
       角当直隆 山中迓晶 川口晃平 観世淳夫



この日は、国立能楽堂特別展「備前池田家伝来・野崎家能楽コレクション」の最終日。


いつまで見ていても見飽きない、能面の名品・優品が充実した展示だった。

後期展示では、「孫次郎(天下一友閑)」、「セイエン」「改玄」が美しかったし、「増髪」「生成」(いずれも天下一友閑)のインパクトのある不気味さや、「童子(艶童)」の艶めかしさ、「蛙」のゾッとする冷たさなど、どれも心に残る作品ばかり。

なかでも、優れていたのが「深井(深女)」と「痩女」(いずれも出目)。
深井(深女)は、その名の通り、《砧》や《朝長》の前シテなどの、深みのある名曲にふさわしい高い品格があり、《痩女》は顔立ちの整った気品のある美形で、《求塚》や《定家》など、いかにも地獄や妄執の責め苦を負った薄幸の美女、といった風情を感じさせる。

この面をあのシテがつけて、あの曲で舞ったら……と、想像の世界で遊ぶしかないのが残念。
宮崎・延岡の天下一薪能のような、地元の素晴らしい能面を使った公演が開催されることを願ってやみません。

ああ、ほんと、終わってしまって、名残惜しい展示でした。



肝心の狂言《因幡堂》の感想は……よかったです。
初めから終わりまで、隣に座った女性のいびきが凄くて、あまり集中できなかったのですが、生理現象だから仕方ない……?

古女房は、わわしいし、大酒呑みだから、新しい奥さんがいい! という気持は、たいていの殿方が(行動に移さないまでも)心に秘めているものなのかも。
そんなふうに言いながら、古女房の怒りを恐れて戦々恐々するあたりも、いつの世も変わらない。
夫婦って、こんなもんだよね。




梅若玄祥の《景清》につづく




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