2015年1月12日月曜日

宝生会月並能1月公演 Part1

1月11日(日) 午後1時始め

能 《翁》    翁 小倉健太郎   千歳 今井基
        面持 金田弘明   三番叟 三宅近成
      笛 藤田貴寛   大鼓 柿原光博
      小鼓(頭取)鵜澤洋太郎 (脇鼓)古賀裕己 清水和音
      後見 宝生和英 小林与志郎
      地謡 前田晴啓 田崎隆三 中村孝太郎 金井雄資
          辰巳満次郎 大友順 水上優 高橋憲正


狂言 《三本柱》  三宅右近   
             三宅右矩 高津祐介 前田晃一


能 《鶴亀・曲入》   皇帝 武田孝史  
          鶴 和久凛太郎   亀 野月
惺太
         ワキ 野口敦弘 ワキツレ 野口能弘 野口琢弘
         アイ 前田晃一
         一噌庸二 幸清次郎 安福建雄 三島元太郎
         後見 高橋章 登坂武雄 小林晋也
         地謡 大坪喜美雄 佐野由於 今井泰行 金森秀祥
             小倉伸二郎 野月聡 高橋亘 佐野登


能 《東北》  里女/和泉式部の霊 小倉敏克
         ワキ 森常好 ワキツレ 舘田善博 森常太郎
         アイ 三宅近成
         松田弘之 幸信吾 亀井実
        後見 近藤乾之助 亀井保雄 東川光夫
        地謡 三川泉 三川淳雄 朝倉俊樹 當山孝道
            山内崇生 澤田宏司 和久荘太郎 藤井雅之


 

いつものように金刀比羅東京分社にお参りしてから宝生能楽堂へ。
ここ、こんぴらさんは能楽ともゆかりの深い大物主(三輪明神)を祀る霊験あらたかな神社。
とてもお世話になっています。


さて、初番の《翁》。

宝生流では(金沢では宗家が勤めるけれど)、
東京の初会では中堅シテ方が順番に翁を勤めることになっている。

翁という大役を初めて授かった能楽師は、

おそらく役者人生のすべてを賭けて翁と謙虚に向き合い、
翁神への絶対的帰依とでもいうような敬虔な祈りの気持ち
(人事を尽くして天命を待つ時の「捨て身」の祈りと畏敬の念)を演能に込めるのだろう。


その真摯な祈りの気持ちに神々が呼応し、
白式尉・黒式尉の憑依力が高まり、
面をかけた役者は並はずれたパワーを発揮することがある。


この日の《翁》もそうした呪術性の高い《翁》で、
最初は緊張して硬くなっていた翁・千歳・三番叟から、
「自己」や「自我」が徐々に抜け落ち、
最後には何かに憑かれたように無心になって舞っているのが伝わってきた。


とくに、最後の《鈴之段》は圧巻で、
曲が急調に転じ、ヒシギが鳴ってテンポがさらに加速するあたりから、
三宅近成は三番叟以外の何者でもなくなり、
宗教的法悦とでもいいたいほどの恍惚感が演者と見所を包み、
神聖な祭祀の中で見る者と見られる者が一体になったような不思議な熱気が立ち込めて、
私は鳥肌が立つような陶酔感を味わった。
















                 



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