高千穂の夜神楽~式三番・住吉からのつづき
地謡座にお囃子、囃子座に祭壇が据えられている。 祭壇の前には岩戸の作り物。 内注連は一重で、天蓋がないのが日之影神楽との大きな違い。 |
高千穂の夜神楽(三田井地区神楽)
(1)神颪 (2)杉登 (3)住吉
(4)手力雄(5)鈿女 (6)戸取 (7)御神体
第Ⅱ部は岩戸神話にもとづく岩戸四番のうちの三番と、豊穣神楽「御神体」が上演された。
いずれも神楽面を使用した舞なので、より神楽らしい雰囲気に。
橋掛りや脇正面があるおかげで、ホールと比べて舞台との一体感も高まった。
(4)手力雄 |
(4)手力雄(たぢからお)
能《絵馬》などでもお馴染みの手力雄。
ここでは、採物に岩戸幣(いわとび)と鈴を持ち、天照大神が天岩屋戸のどこに隠れているかを探る舞を舞う。
天・水をあらわす青(緑)の山冠と、地・火をあらわす横冠の岩戸幣を採物とすることから、天地を祓う神楽ともされている。
(5)鈿女 |
(5)鈿女
高千穂夜神楽の鈿女の舞は、しっとり嫋やか。
採物は、赤い鈿女幣と扇。
鈿女にかぎらず高千穂の夜神楽に登場する女体(女神)は、奥ゆかしく穏やかに微笑む女性ばかり。
九州男児の理想が投影されているのかも。
(6)戸取 |
(6)戸取(ととり)
天岩屋戸を取り払う舞。
同じ手力雄でも、(4)手力雄の白い神楽面とは異なり、ここでは赤い神楽面によって、岩戸を力一杯取り払う手力雄の紅潮した顔をあらわしている。
画像は襷をかけているところ。
岩戸を取り払った瞬間! |
(7)御神体~能楽堂の空間を生かし、橋掛りを通って登場 |
(7)御神体
イザナギ・イナザミが舞う酒こし・国産みの舞。
夜中に舞われることから「目覚まし神楽」とも呼ばれるという。
男女和合をあらわす舞でもあり、五穀豊穣・夫婦円満・子授安産の祈願も込められている。
(7)御神体~新穀で酒を醸す舞 |
男女和合・夫婦円満 |
でも最後は、二人が再び舞台に上がって仲好くじゃれ合い、めでたしめでたし。
こうした感染呪術(かまけわざ)によって、五穀豊穣・子孫繁栄が祈願される。
イザナギ・イザナミとも、相当古く良い面が使われていた。
イザナミの面は、おかめやお多福、乙(おと)と呼ばれる狂言面の原型と思われる。
おそらく鈿女にも転用されるのだろう。
福々しく、平穏で、じつに美しい面だった。
舞手も名品の面にふさわしく、とても可愛らしい癒し系のイザナミを演じていらっしゃった。
こういう女性になりたいものだ。
最後は演者が舞台から見所に降りて、紅白餅を観客に配って幸せのおすそ分け。
観客も、皆さん、幸せそうな笑顔。
神楽の魅力にますますはまりそう。
素敵な公演、ありがとうございました!
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