洲浜から天の橋立越しに茶室を望む |
先日観た仙洞御所とは、なにもかもが格段に違っていた!
「無作為」を演出する巧みな作為。「人工」と「自然」の境界を可能な限り曖昧にする緻密な計算。「有機的」な自然素材に溶け込む、「無機的」な幾何学模様。そして、その美を維持しつづけるための、途方もない時間、手間ひま、コスト。
どこを向いても、巧緻な作庭術と貴人好みの美意識に埋め尽くされていて、ただただ圧倒された。
貴人が思い描いた理想郷の実現。究極の虚構の美。
参観時間は1時間ほど。まだまだ物足りなくて、立ち去り難かった。1日じゅう滞在してもぜんぜん足りないくらい。
以下、参観ルートの順に回想していきます。
御幸道 |
御幸門から中門に至る石畳。
一直線に伸びる石畳に対して、橋を少し斜めに架けることで奥行きが強調されている。
霰こぼし |
歩きやすいように、小石の表面が1つずつ平らに削られている。
足にソフトな石畳。貴人へのさりげなくも、きめ細かな配慮。
御幸門(表門) |
(現在の御幸門は18世紀に再建されたもので、当初の門とは形が異なる。)
円柱にはアベマキ(コルククヌギ)の樹皮付き丸太が使われ、その名の通り、触るとコルクのように柔らかい。
画像右下の番号札を乗せた切り石は、上皇の御輿を置くための「御輿台」。
外腰掛 |
山荘らしく、前も横も吹き流しにした茅葺寄棟造。
丸太柱にクヌギの自然木を無造作に配しているように見えながら、幹の太さや曲がり具合などを考慮して巧みに配置されている。
外腰掛けに腰掛けたときの視界。眼の前には蘇鉄山が。 |
林立する蘇鉄は、いわば「天然の衝立」として機能する。
亭主が合図を鳴らして、一同が茶室へと進むとき、一気に視界が開けて、眼の前に庭園の美景が広がる仕掛け━━ドラマティックな演出だ。
外腰掛の庇の下に打たれた延段 |
形や配色の妙が美しい。
御輿寄の「真の延段」に対して「行の延段」といわれる見どころの1つ。
外腰掛から茶室・松琴亭に向う途中で出会う風景 |
茶会への期待が、否応なく高まる瞬間。
洲浜の先端に立つ石燈籠は、岬の灯台に見立てたもの。
天の橋立の向こうには、茶室・松琴亭が見える。
桂離宮その2~松琴亭につづく
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