2017年6月21日水曜日

粟嶋神社~少彦名命の聖地


中海に浮かぶ小島・神明山全体が聖域

義母の入院にともない、4月下旬から東京と出雲地方を行ったり来たり。
ここは、古代神話が色濃く残る場所。
近くには夜見(黄泉)という名の町があったり、黄泉平良坂でイザナギがイザナミの追跡を防いだ大岩があったりと、異界が身近に存在します。
粟嶋神社もそのひとつ。


神社裏手、山麓の洞窟にある「八百姫宮」
神社裏手の洞窟は、その昔、18歳の娘が人魚の肉を食べて不老不死となり、若い姿のまま800歳まで生きたとされる八百比丘尼が籠った霊地。





八百比丘尼が籠った洞窟「静の岩屋」

まわりの人々が次々と老いて死んでいくなかで、自分だけが若いまま生き続けたため、娘は世をはかなんで尼となり、洞窟に籠って800歳まで生きたという。

洞窟はあの世とこの世の境界。
何百年ものあいだ、この世でも冥界でもない狭間に嵌まり込んでいたのでしょうか。
(謡曲の《菊慈童》を思わせます。)

生老病死は辛いことではあるけれど、ふつうに老いて死んでいくって、ほんとうは幸せなことなのかもしれません……。



原始林が生い茂る187段の階段

原始林が鬱蒼と生い茂る境内は「神が宿る森」。
みずみずしい緑の香りがたちこめ、木陰を吹き抜ける風が気持ちいい。





社殿はこんな感じ
三輪山と同様、山(島)自体が神山なので、社殿はもとは山麓にあったという。





御岩宮祠「お岩さん」

通称「お岩さん」と呼ばれる御岩宮祠。
神の依り代として古代から崇拝されてきた磐座信仰の名残り。

祭神の少彦名命が粟嶋に最初に到着した聖地とされています。


大国主(大己貴・大物主)命の片腕となって国造りを行った少彦名命は、農耕・医術・呪術・酒造を広めた神であり、また常世の神でもありました。

少彦名命は大国主(大物主)の分身とされたり、葛城の事代主や一言主と同一視されたりと、謎の多い神様です。





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