折り鶴を思わせる聖マリア大聖堂、丹下健三設計、1964年 |
トマゾ・アルビノーニ : オルガンのためのアダージョ
【後奏】
フェリックス・メンデルスゾーン : ソナタ第6番 op.65,6
コラール 「天におられる私たちの父よ(主の祈り)」 と
変奏
フーガ
終楽章 アンダンテ
ジャン・ラングレー : グレゴリオ聖歌による3つのパラフレーズ より
神への感謝の賛歌 「 テ
デウム 」
ホテル椿山荘の向かいにある東京カテドラル関口教会。
月に一度催されるオルガン・メディテーションに初めて参加した。
バスから降りると、翼を広げた水鳥のような優美なフォルムとメタリックな質感が印象的な「ザ・タンゲ」的巨大建造物が目の前に出現する。
夕陽を浴びたステンレススチールが茜色に染まりながら天空の移ろいを映してゆく。
教会内部はコンクリート打ちっぱなしの内省的で簡素な空間だ。
最奥部には祭壇と高さ16メートルの十字架が安置され、背後に縦長に埋め込まれた薄い大理石が天然のステンドグラスとなって、繊細な光をほのかに透過している。
トップライトが十字架形に配された天井の高さはおよそ40メートル。建物全体に上昇感が満ちている。
全体としては、ロマネスク修道院のようなストイックな雰囲気とゴシック的荘重さが共存し、祭壇前に飾られた花束の白ゆり(聖母マリアの純潔の象徴)からはかぐわしい香りが漂う。
会衆席が埋め尽くされた頃、白いシルクの祭服に身を包んだ若い神父さんが現れ、オルガン・メディテーションが始まった。
祭壇の向かいの階上にある巨大なパイプオルガン(教会用オルガンとしては日本最大)から重厚的な音色が響き、脳のコリがほぐれていく。
オルガンの前奏と後奏のあいだに、神父さん主導で祈りや唱和、聖書朗読がある。
その舞台俳優のような発声と優しい語り口が耳に心地よく、とーっても癒される!
「疲れた者、重荷を負う者は誰でもわたしのもとに来なさい、休ませてあげよう」と、神父さんの柔和な声を聞くと、ほんとうに救われる気がしてくる。
(わたしはとくに何かの宗教に属しているわけではないのですが、宗教空間に身を置くのが子供の頃から好きなのです。)
メンデルスゾーンのソナタ第6番までの夢見心地から一転、最後の神への感謝の賛歌「テ デウム」は眠りからの覚醒を促すような崇高な響きとなり、星々が軌道をめぐるなかで身体が遊泳しているような宇宙的な感覚に襲われる……。
終了後、外に出た。
空には朧月がぼんやり浮かび、心もふんわり軽い。
オルガン・メディテーション、またぜひ訪れてみたい。
フランスのルルドの洞窟を再現した祈りの場。 1911年にドマンジェル神父が建てたという。 |
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