注連縄で結界が張られた神聖・清浄な能舞台 |
新年小謡《橘》出演者一同
舞囃子《老松》梅若玄祥
《東北》梅若紀彰《高砂》梅若長左衛門
《弓矢立合》梅若玄祥 梅若長左衛門 梅若紀彰
松田弘之 鳥山直也 亀井忠雄→原岡一之 林雄一郎
連吟《養老キリ》富田雅子 女流一同
仕舞《八島》 松山隆雄
《羽衣キリ》角当行雄《鞍馬天狗》角当直隆
《猩々》 川口晃平
連吟《鶴亀キリ》会田昇 出演者一同
謡初式の一般公開を毎年継続して行うのは、ほんとうに凄いことだと思う。
振舞い酒まで用意されていて、強風のなか東中野の坂を下ったあとなので、お酒がことさら美味しく感じられ、体がぽかぽか温まる。木六駄の峠の茶屋のようなあたたかさ。
切戸口で切火を打つ音がすると、切火を受けて清められた演者たちが一人ずつ能舞台に入り、謡初という厳粛な儀式が始まる。
梅若の謡初式では、毎年《老松》《東北》《高砂》と《弓矢立合》の舞囃子が行われる。
もしかするとそれは、かつて江戸城の謡初で《老松》《東北》《高砂》の三曲が演奏されていたことや、古代は《弓矢立合》を《翁》の代わりにすることもあったということと関係があるのだろうか。
そんなふうに、江戸式楽の伝統に思いを馳せつつ拝見する。
舞囃子《老松》
この前日に、金春流の能《老松・紅梅天女イロエノ働キ》を観たばかりなので、両者を比較すると、同じ曲でもこんなにも違うものかと新鮮な驚きがある。
玄祥師の序ノ舞の「序」は、《道成寺》の乱拍子さながらの緊張感みなぎるドラマティックな「序」だ。
お囃子は忠雄師が休演なので、笛の松田さん以外は若手三人。
熟練の松田さんに加えて、この三人の覇気に満ちた囃子が、玄祥師の風格と重厚感のある舞に見事に応えていた。
やっぱり玄祥師の老松は好い!
(わたしのなかでは、《山姥》と《老松》=梅若玄祥になっている。)
舞囃子《東北》
いつもながら、どの瞬間、どの視点から見ても、美しい舞姿。
美しい舞の流れ。
それをできるだけ心に留めておこうと、全神経を集中させる。
「見仏聞法のかずかず」で始まり、序ノ舞を省いた短縮バージョン。
「池水に映る月影は」のところの、開いた扇の面を下に向けてかざす型では、菩薩の光が月影となって、ほんのり春めいた水面に反射するきらめきを感じさせ、能楽堂に射し込む自然光とあいまって、そこだけ何かのオーラのように明るく輝いて見えた。
今年は前半だけでも《錦木》、《通盛》と、楽しみな演能予定があり、今から待ち遠しい。
舞囃子《高砂》
どうしたのだろう、体調がひどく優れない御様子で、心配。
ほかにも、心配な能楽師さんが多くて、胸の痛む日々が続く。
仕舞《八島》《羽衣》《鞍馬天狗》《猩々》
角当直隆さんの飛び返りがピタッと決まり、キリッとした《鞍馬天狗》。
以前から謡が好いと思っていた川口さんは、仕舞もきれい。
東京メトロのFind My Tokyoのサイトに、石原さとみさんがこの能舞台で能楽体験をする動画があり、能楽体験の指南役として角当直隆さんと川口晃平さんが御出演されていた。
この動画がとても良く、川口さんの話す声がめちゃくちゃ渋くて、声優さんになれそうなほど好い声でビックリ!
ハンサムな狛犬が守護する氷川神社 |
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