2015年9月25日(金) 18:00~18:55 インターメディアテク2F ACADEMIA
用事で近くまで来たので、前から気になっていた蓄音機音楽会に初めて参加した。
東大総合研究博物館が所蔵する2台のヴィクトローラ製クレデンザ蓄音機。
この最高級蓄音機で、湯瀬哲が集めたジャズのSP盤コレクションを聴き、デジタル時代とともに失われた音の厚みと奥行きを共有するというのが本イベントの趣旨。
月一くらいの間隔で定期的に開かれているらしい(次回は10月16日)。
東京駅至近のインターメディアテクには、化石や昆虫標本、剥製、ホルマリン漬けの標本が所狭しと展示され、日が暮れると、スミソニアン博物館のナイトミュージアムのような静謐で神秘的な雰囲気が漂う。
背の高い上げ下げ窓の向こうには夕闇に包まれた丸の内の都会的な風景が広がり、ノスタルジックな階段講堂で蓄音機ならではのアナログ感・ノイズ感を味わいながら、ジャズの名盤を聴くのは至福のひととき。
金曜日の夜、1週間の疲れとストレスが紅茶に入れた氷砂糖のようにじわじわと溶け、心も身体もほぐれてゆく。
モデルのような端正な顔立ちと抜群のスタイルの男性(学芸員さん?)が一曲ずつ丁寧に解説してくださるので、20世紀半ばのジャズシーンに疎いわたしでもかなり楽しめた。
というか、初めて聴く曲ばかりだったので、なおさら新鮮で興味深かった。
解説を要約すると、
時は1949年、ビバップに代表されるモダンジャズが旋風を巻き起こした時代、ボプ・ワインストックが「ニュー・ジャズ」というレーベルを立ち上げた。
(その後、「ニュー・ジャズ」は「プレステージ」と改名される。)
「ニュー・ジャズ」は新しいミュージシャンを次々と紹介し、さらにジャズ・レコードの録音方式そのものを根本的に変えた。
1曲1テイクしか録音せず、失敗作のテープを再利用していたため、アウトテイクが少なく、ヴァリエーションに乏しいという批判もあったが、そのいっぽうで即興性を重視し、ジャズの新たな美学を生み出したとされる。
今回は、「ニュー・ジャズ」発足当時の作品11曲を聴くことができた。
そのなかで以下の5曲が印象深かった(単なる覚書)。
Reinhold Svensson(1919-1968)Quintet, Sweet and Lovely 1950年録音
スウェーデンの盲目のピアニスト、ラインホルト・スヴェンソン。
「Sweet and Lovely」はタイトル通り、装飾の多い甘美な曲。
Stan Gets(1927-1991) Bop Stars, Five Brothers 1949年録音
Gerry Mulligan作曲
Stan Gets Quartet, Crazy Chords 1949年録音
ノリが良くて、おしゃれでシャープな曲。
Wardell Gray (1921-1955), South Side 1949年録音
アル・ヘイグ(Al Haig)のピアノがかっこいい曲。
Fats Navarro(1923-1950), Infatuation
Don Lanphere作曲 1949年録音
ジャズらしい黄昏感、グラスを傾けたくなる
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