2018年7月15日日曜日

天岩戸のカミあそび ~ 祇園祭奉納舞台

2018年7月14日(土)18時30分 祇園祭奉納舞台・岩戸山

演目《国生み》   イザナギ・イザナミ
  《天岩戸開き》 アメノウズメ

舞 林宗一郎 篠笛 森田玲&香織 太鼓 植木陽史


京都の夏の暑さはハイレベル! しかも湿度がめちゃくちゃ高い!
この日は最高気温38.5度、夕方のこの時刻でもおそらく35,6度はあったでしょうか。宵々々山とはいえ、かなりの人出で、バテバテになりながらも行ってきました。

岩戸山の奉納舞台も凄い人だかり。いろいろ撮影したのですが、お顔を掲載していいのかわからなかったので、以下の画像のみアップしておきます。
(宗一郎さんのブログにきれいな写真が載っているのでそちらをどうぞ。)


祈りを捧げるアメノウズメ

《国生み》
日本の創世神話を表現した《国生み》では、古代装束に見立てた単狩衣肩上+袴姿に天沼矛をもった宗一郎さんが登場。
イザナギ・イザナミが天浮橋から鉾の先を振り下ろし、海原を「こをろ、こをろ」とかき混ぜて、矛を持ち上げると、滴り落ちた潮から島ができるさまを仕方話風にあらわし、それに森田玲さんの笛のアシライが入ります。

国産み神話を題材にした能《淡路》とも違っていて、民俗芸能の神楽で上演される「国生み」に近い内容ですが、能楽師さんがやると、ビシッと一本筋が通っていて洗練された感じ。
一瞬一瞬がフォトジェニックで、絵になります。


《国生み》が終わると物着となり、舞い手は衣の肩上を下ろし、矛から笹に持ち替え、イザナギからアメノウズメに変身。


《天岩戸開き》
《天岩戸開き》は内容が重なることもあって、詞章は《三輪》と同じ。「とても神代の物語」から始まります。

最初にシテは正を向いて笹を弊のように左右左に振り、次に左を、さらに右を向いて、舞台三方にいる観衆にお祓いをするように、巫女のような所作で笹を振ります。
この間、篠笛は雅楽のような優雅な旋律を奏で、観ているこちらもお祓いされて清められているような、心地よさ。
涼やかな風が吹き抜けるような清々しさを感じます。

面白かったのは、神楽の舞に入る前に、能楽囃子の神楽の唱歌をシテが謡うこと(これがないと気分が盛り上がらないから?)。

神楽の舞に入ると、篠笛も太鼓も能楽囃子の神楽ではなく、民俗芸能的な囃子音楽になり、シテの舞も能の神楽の要素を取り入れつつも、少し違ったアレンジ。

(能のお囃子に慣れているシテがこの音楽で舞うのはけっこう調子が狂ってふつうは大変だと思うのですが、そこはさすが! 何の違和感もなく舞と囃子が見事に調和していました。この暑さなのに、涼やかな表情で舞うところもプロフェッショナル。)

神楽の舞は、まだ神楽と猿楽・散楽が未分化だった時代の純粋な神事を見るような、不思議な感覚。

篠笛も舞もとても美しく、このときだけは暑さを忘れ、気持ちよく奉納舞台に見入っていました。




森田玲さんは、「道調べの儀~神輿洗」の記事の追記でも紹介したように、篠笛玲月流家元で、在野の祭礼研究者でもあり、わたしが愛読している『日本の祭と神賑』の著者でもある方。

この日、はじめて生演奏を聴いたのですが、民俗囃子や雅楽などの要素を取り入れた透明感のある音色で、お人柄があられているのか、人の心を癒す魅力のある笛でした。








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