岡崎界隈には個性豊かな五一の作品がいくつかあって、眼を楽しませてくれます。
まずは、京都観世会館のおとなり、藤井斉成会有鄰館・第一館から。
カメラ目線の狛犬さん |
藤井斉成会有鄰館は、藤井紡績の創業者・藤井善助の東洋美術コレクションを収めた私設美術館。
(開館日が月二回、時間も限られているため、残念ながら、わたしはまだ入ったことがありません。)
屋上の八角堂 |
収蔵された中国古美術コレクションに合わせて、外観にも東洋的モティーフがちりばめられています。
ひと際目を引くのが、屋上を飾る朱色の八角堂。
これも藤井コレクションのひとつだそうです。
藤井斉成会有鄰館、大正15(1926)年、武田五一設計 |
屋上の八角堂と響き合うように、エントランスのアーチ部分も門柱灯も、八角形をベースにしたフォルム。
幾何学的デザインを好んだ武田五一が、「8」や「八角形」という中国で縁起が良いとされる数字や形を巧みに取り込んで、吉祥性とデザイン性を融合させています。
見事な龍のレリーフ |
次は、琵琶湖疎水を渡って、岡崎公園へ。
平安神宮大鳥居、昭和3(1928)年、武田五一設計顧問 |
平安神宮大鳥居も、武田五一が設計顧問として手掛けたもの。
高さ24メートルの巨大な大鳥居は、笠木の下に島木をつけ、やや反りを加えた明神型。
どっしりと安定して見えるのは、柱と柱のあいだの長さと貫(梁)までの高さがほぼ同じで、鳥居内部の空間がほぼ正方形をしているからかもしれません。
京都国立美術館の2階ロビーから眺めた大鳥居 |
京都府立図書館、明治42(1909)年、武田五一設計 |
近代美術館のとなりにある、京都府立図書館。
当時の面影を残すのは外壁のみですが、こちらも武田五一の設計。
「京都図書館」の文字も当時のまま |
「京都図書館」の文字の上のイチョウの葉のモティーフは、ウィーン分離派の影響ではないかという指摘もあり、ほど良く甘美なデザイン。
金色の縁取りや、ところどころに配された曲線モティーフなど、世紀末的な装飾性が見られるのも特徴です。
通気口もおしゃれ |
孔雀でしょうか?
細部にもさりげなく遊び心が生かされていて、やっぱり近代建築は魅力的。
0 件のコメント:
コメントを投稿