2018年3月12日(月)11:30~17時 法政大学スカイホールほか
■ワークショップ 型付だけで舞えますか?
講師 高橋憲正
■シンポジウム 以心伝心・以身伝身「ワザを伝えるワザとは何か?」
玄人の稽古・素人の稽古 大島輝久 聞き手 山中玲子
他 型付および技芸伝承・ワザ伝達にまつわる研究発表
時間がないので簡単な感想だけ。
このワークショップでお稽古(舞の型)体験初体験。
まずは、カマエのご指導から。
うーん、同じようにやっているつもりでも、講師の高橋さんとは、何かがぜんぜん違う!
それに、高橋さん、さすがにご指導が上手い。
分かりやすくて楽しいし、そして、なぜかだんだん関西弁になってくる。
金沢弁=関西弁? と思っていたら、師匠であるお父様から関西弁でお稽古を受けたため、それがそのままご自分にも移ったのだそう。
(幼少期からご指導を受けた体験が、ことばのなまりも含めて、身体に沁みついているんですね。)
高橋さんと関西弁って意外な取り合わせだったので、それだけでも面白い。
そして宝生流では、「サシコミ・ヒラキ」のことを「シカケ・ヒラキ」というのも初めて知りました。同じ「シカケ」という型も流儀によって違っていて、たしか宝生・喜多・金剛では「(観世流の)サシコミ」のことを指し、金春流では別の型を指すとか(→ちょっとうろ覚え)。
あ、それから、「型付だけで舞えますか?」というワークショップのタイトルの答えは、「型付だけでは到底舞えません」でした。プロの指導、あるいは、せめて映像がないと無理(もしくは繰り返し舞台を見るとか)。
映像でも……映像は二次元だから、微妙な角度とか、立体的にとらえた全体の動きとかが把握できないし。
自分と相性がよく、「ああなりたい」と憧れる師匠に教わるのが、いちばんなんでしょうね。
シンポジウムでは、大学生に指導する大島輝久さんの動きをモーション・キャプチャのようにデジタル的に動作分析(バイオメカニクス分析)した林容市氏の研究発表が面白かった。
スティック・ピクチャーで真上から見ると、大島さんの重心と頭頂部のポイントがほぼ常に重なり、体の軸がブレていないことがわかったり、動作(活動)量を示した波形グラフでは初心者素人と比べて、大島さんの型には抑揚(メリハリ)が随所についていたことが判明したりと、いろいろ興味深い。
おそらくプロの中でも、この抑揚の波形に個人差があり、それが舞の個性となっているのかも。
いちばん心に残ったのは、「玄人と素人の稽古の違いは?」と尋ねられた時に、大島輝久さんがお答えになった言葉。
(基本的には「素人も玄人も同じです」と前置きしたうえで、)
「お素人」には、まずは稽古(能)の楽しさを教えることが主眼となるが、玄人はその逆。
玄人能楽師は、辛いところをどこまで平気で舞うかという、耐性を学ぶことが主眼となる。
玄人が舞台に出る8~9割は地謡や後見などの裏方の仕事。
裏方に徹し、個性を叩き潰し、自我を失くす。
一兵卒になり切れるかどうか、そこがプロが学ぶべき事だという趣旨のことをおっしゃっていた。
ワークショップで講師をされた高橋憲正さんも一般聴衆席から示唆に富んだお話をされ、ほかにも金春流の中村昌弘さんの御姿も。
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