2019年8月25日(日)京都観世会館
能《兼平》片山伸吾
旅僧 福王和登
粟津浦船頭 小笠原弘晃
杉信太朗 成田達志 谷口正壽
後見 杉浦豊彦 河村晴道
地謡 味方玄 吉浪壽晃 分林道治
味方團 田茂井廣道 橋本忠樹
宮本茂樹 河村和貴
狂言《蝸牛》山伏 小笠原匡
太郎冠者 小笠原弘晃 主人 山本豪一
能《定家》梅若実→片山九郎右衛門
(梅若実が股関節症のため代演)
福王茂十郎 是川正彦 喜多雅人
千本辺りの者 小笠原匡
杉市和 大倉源次郎 河村大
後見 井上裕久 林宗一郎
地謡 梅若実 河村和重
浦田保親 浦部幸裕 橋本光史
松野浩行 大江泰正 河村和晃
仕舞《放下増小歌》松井美樹
《江口キリ》 吉浪壽晃
《籠太鼓》 味方玄
《融》 田茂井廣道
能《善界》大江広祐 河村浩太郎
岡充 岡陸 有松遼一
能力 泉槇也
竹市学 林大輝 石井保彦 井上敬介
後見 牧野和夫 大江信行
地謡 大江又三郎 浦田保浩 古橋正邦
越智隆之 浅井通昭 吉田篤史
梅田嘉宏 樹下千慧
思いがけず、念願だった片山九郎右衛門さんの《定家》を観ることに。
急遽、東京から駆けつけた方々もちらほら。京都の見所でも、シテが代役になることを当日会場で初めて知った人が多かったようだ。九郎右衛門さんのお社中の方さえ知らなかったくらいだから、ほんとうに突然決まったのかしら?
(観世会館からは2日前にツイッターとHPに発表があった。)
《定家》の感想は別記事に書くとして、まずは《兼平》から。
【お囃子最高!】
一にも二にも、成田達志さんと谷口正壽さんの大小鼓が、悶絶レベルでカッコよかった!
木曾義仲と今井兼平との乳兄弟の固い契りって、こんな感じではなかっただろうか?
まさに、たった二騎になった義仲と兼平が最期に猛戦する凄まじい雄姿を見るかのよう。
敵陣に向かって疾走し、馬上で長刀を振り上げ、太刀を振り下ろす、その勢いそのままの勇ましい掛け声と戦場に響きわたる鼓の音。
戦国武将そのものの、気迫と気合。
義仲と兼平がよみがえって、舞台で鼓を打っているようだった。
天下無双、無敵の大小鼓。
それぞれ単独でもカッコいいけれど、兄弟そろった大小鼓は100倍くらいパワーアップして、もう、最強の組み合わせ!
ああ、このお二人の囃子でもっと舞台を観てみたかった。
あの曲も、この曲も、もっと、もっと観てみたかった……。
【演者が訪れる能の史跡】
京都観世会機関誌『能』7月号に、片山伸吾さんによる《兼平》ゆかりの地をめぐる紀行文「演者が訪れる能の史跡」が寄せられている。
それによると、《兼平》に登場する「山田矢橋の渡舟」は、今の近江大橋がかかる辺りにあったもので、「矢橋の船は速けれど、急がば回れ瀬田の長橋」と連歌に詠まれたように、比叡山からの突風が吹き下ろす船路よりも、瀬田の唐橋を経由した陸路のほうが安全だという、「急がば回れ」のことわざが生まれた場所だという。
公演前日に予習として、伸吾さんの紀行文を読みながら地図をたどると、先日、大津市伝統芸能会館に行った折に目にした琵琶湖の光景が浮かんできた。実際の舞台前場の名所教えの場面でも、のどかな初夏の湖面や崇高な霊山・比叡山がより鮮明にイメージできた。
京都は謡曲の史跡であふれているから、演者がめぐる紀行文が公演前の機関誌に掲載されるのは、良い企画だと思う。(私は今年から会員になったので知らなかったけれど、『能』に掲載された「演者が訪れる能の史跡」シリーズはこれで29回目なんですね。)
能《定家》につづく
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