2015年1月2日金曜日

阿佐ヶ谷神明宮・迎春奉納能





舞台清祓いの儀

大蔵流狂言 《鬼瓦》  シテ 大蔵吉次郎  アド 大蔵教義  後見 宮本昇

金剛流半能 《淡路》  シテ 工藤寛     ワキ 安田登
           槻宅聡 住駒匤彦 柿原光博 徳田宗久

                   後見 山田純夫  田村修
                   地謡 廣田幸稔 宇高竜成 見越文夫 元吉正巳




正月二日は去年と同様、初詣がてらに家族で阿佐ヶ谷の奉納能へ。
開演ぎりぎりに行ったのですが、この日は極寒だったせいか、見やすい席でも余裕で座れました。
巫女さんが使い捨てカイロを配ってくださるという温かい心づかい。

開演前の舞台清祓いの儀では、榊で舞台の四隅と見所(この間、観客も頭を下げている)をお祓いした後、
破魔弓で破魔矢を射る儀式も執り行われ、厳粛な雰囲気。
舞台だけでなく、見る側も祓い清められた気分になります。


《鬼瓦》は、京に滞在中の大名が因幡堂の鬼瓦を見て、故郷の妻を思い出すお話。
私と夫はボーっと見ていたけれど、後ろの席の女性がリアクションの良い人で、終始大笑い。
あんなふうに楽しんでもらえると演じる方もやりがいがあるだろうな。


そして、お待ちかねの半能《淡路》。
この奉納能では分かりやすい鑑賞の手引きや詞章が配布されて、初心者でも楽しめるように工夫されていました。
《淡路》の後場は《高砂》の後場ととてもよく似ている、というかほとんど同じ。
シテの面・装束も同じなので、言われなかったらイザナギ神ではなく住吉明神かと思うほど。
特徴的な違いは、
《淡路》では「振り下げし鉾の滴り露凝りて一島となりしを」のところで、
シテが扇を鉾に見立てて、露が滴るさまを表す型があるところでしょうか。

金剛流の能を拝見することは少ないのですが(これはシテの芸風なのかもしれませんが)、
素朴でプリミティヴな味わい。
寺社での野外奉納能の雰囲気にはぴったり。


何よりも正月早々、槻宅さんの笛が聴けたのが嬉しい!
今では幻になりつつある寺井政数ー中谷明系譜の笛。
その独特の音色に聞き入ったのでした。

観能後、あまりの寒さに凍えそうになった夫に
今日のお能は脇能の半能なので、上演時間も短く、テンポも速めだと言うと、
「ええー! これで(テンポが)速くて、短いの?!」とのこと。
やっぱり夫には序ノ舞・中ノ舞系のお能のフルコースは無理かな……。





                 






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