2018年5月22日火曜日

西本願寺・降誕会~お茶席など

2018年5月21日(月)  西本願寺

念願かなって、西本願寺の降誕会に行ってきました。
本願寺の建築物・障壁画・彫刻などはどれも国宝・重文級のものばかり。
大切に、大切に、時間とお金をかけて修復されて……いろいろな人の思いと技が受け継がれ、その蓄積がここにある。人々に愛され、大事にされてきた建物は、なんだかとても幸せそう。
国宝・唐門(桃山時代)
1980年の修復で極彩色に塗られた見事な彫刻群。
正面は唐破風造。



唐門の側面は入母屋造

唐獅子牡丹や竹に虎、雲に麒麟などの丸彫り彫刻のほかにも、
中国の故事にちなんだ彫刻も。





張良の故事
↑能でもおなじみの「張良、沓を捧げつつ♪」と、龍にまたがった張良が沓を捧げる場面。




馬上の黄石公
↑ 「馬の上なる石公に♪」と、沓をはかせてもらい、兵法を授ける黄石公。






許由の故事
↑中国の伝説の君主・尭帝が、高潔な許由に皇位を譲ろうとするが、その話を聞いた許由は山に隠れ、「汚らわしいことを聞いた」として川で耳を洗い流す、という故事を描いたもの。




巣父の故事
↑許由が川で耳を洗っていると、巣父が牛に水を飲ませようとやってくる。
許由の話を聞いた巣父は「牛に穢れた水を飲ませるわけにはいかぬ」と立ち去ったという。




国宝・浪の間の玄関(江戸時代)

切妻に軒唐破風を組み合わせた壮麗な玄関。
切妻には、二羽の鳳凰が翼を広げています。

バシャバシャ写真を撮っていると、能楽師さんたちがぞろぞろ入ってゆく。
「なんだろう?」と思っていると、一台の車が止まり、中から憧れのあの方が!
びっくりした!
(じつは撮影していた建物が楽屋だったというオチ……。)




お花は黄花芍薬、姫檜扇、馬の鈴草
通常は、飛雲閣でお茶席なのですが、現在は修復中。
なので、お茶席は野点になりました。

流派は薮内流。
薮内流と西本願寺との関係は古く、薮内家二代真翁が西本願寺の茶頭に迎えられて以来、同家が本願寺の茶頭師家を勤めているそうです。



亀屋陸奥「憶昔」

お菓子は、西本願寺御用達の御供物司・亀屋陸奥の「憶昔(いくじゃく)」。
飛雲閣の東に付属する茶室「憶昔」にちなみ、飛雲をあしらったもの。
浜納豆の奥行きのある味わいが楽しめるやわらかい落雁。



亀屋陸奥も西本願寺と古くからつながりがあり、その歴史を物語るのが銘菓「松風」です。

亀屋陸奥『松風』
石山合戦の際、門徒の貴重な兵糧となった銘菓
司馬遼太郎が愛した菓子としても有名

銘菓「松風」は、石山本願寺と織田信長の合戦の際、本願寺の兵糧方を勤めていた亀屋陸奥の三代目が、兵糧にもなるように考案した焼菓子。

のちに信長と和睦を結んだ本願寺第十一世顕如は、能の名手だった下間少進邸を訪れた際、庭を吹き抜ける松風に興趣を覚え、「わすれては波のおとかとおもふなり、まくらにちかき庭の松風」という歌を詠む。
この歌にちなんで、顕如が亀屋陸奥の兵糧菓子に「松風」の銘を贈ったという言い伝えがあります。
表面はケシの実をまぶし、なかは白味噌風味でもちっとした独特の食感で、ユニークな味わい。
(「松風」は茶席に出されたのではなく、自宅でいただいたものです。)


茶席と建築で西本願寺の歩んだ歴史に思いを馳せつつ、いざ、祝賀能へ!







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