ステンドグラスと煉瓦造りが素敵なアートコンプレックスセンター |
Part1 《高砂》 シテ 大島輝久
(1)解説 佐々木多門
(2)謡の実演
「高砂の尾上の鐘の音すなり……相生の影ぞ久しき」
(3)使用面・装束の紹介
(4)仕舞《高砂 キリ》の実演
Part2 《桜川》 シテ 佐々木多門
(1)解説 友枝真也
(2)謡の実演
「まづこの川の名におふこと……げに面白き川瀬かな」
(3)使用面・装束の紹介
(4)仕舞「網の段」の実演
Part3 みんなで謡おう! 附祝言《高砂》
Part4 質疑応答
佐々木多門・友枝真也・大島輝久さんが主催する燦ノ会の鑑賞講座。
会場となったスタジオには能舞台にも転用できるステージが設置されていて、
主催者・参加者のあたたかい雰囲気と相まって居心地の良い空間でした。
こういう会の講座に参加するのは初めてでしたが、目からウロコの内容。
いつも妄想を暴走させながら一人で舞台を観てきたけれど、やはり演者の視点から曲を語っていただけるのは貴重な機会だと実感しました。
これからは時間があればなるべく参加することにしよう。
《高砂》の解説。
多門さんのソフトで穏やかな語り口が心地よくて、癒される。
この声で中原中也の詩集を朗読してほしいくらい。
面白かったのは、播磨国の高砂の松と摂津国の住吉の松とは、(瀬戸内海の)海底でその根っこがつながっていると考られていたということ。
遠く離れた夫婦の松が根っこでつながっているなんて、ロマンティックなお話。
結婚式で謡われてきたのも祝言曲というのもあるけれど、その根底にはこうしたロマンティックな発想があったからでしょうね。
《桜川》を解説した友枝真也さんは、飄々としてマイペース。
淡々としながら、ボソッと面白いことをおっしゃるのが可笑しい。
真也さんのお話のなかで印象に残ったのは、物狂能の曲中にはハイになっている「躁」の部分と、我に返っている「鬱」の部分があり、見どころはハイな状態で舞うところ、という解説。
最後に「躁」のピークに達したあとで、物狂いは我に返って、愛する人と再会するというのがパターンとのこと。
なるほどー。
使用面・装束の紹介では、《高砂》と《桜川》で使用する小牛尉(小尉)や邯鄲男、曲見の面、それから狩衣や唐織・縫箔、すくい網の作り物などを見せていただきました。
豆知識として、
小牛尉と三光尉の違いは、小牛尉は鼻の下の髭が描かれていて神がかった顔立ちなのに対し、三光尉は植毛した髭を生やし、人間的・庶民的な顔立ちをしていること。
それから狩衣は能装束のなかでもおそらく最も重い装束で、これをつけて神舞を舞うのは体力勝負だそう。
曲見の面は、若曲見といってもいいほど、若くて美しい女面。
曲見のなかにはその名の通り顎がしゃくれてあまり美人ではない面もあるのですが、この面は品のある美形でした。
そして、謡・仕舞の実演。
会場となったスタジオは音響も非常に良く、喜多流の謡を間近で堪能できて贅沢な気分。
仕舞も申し分ないほど充実していて、大島さんは《高砂》のキリ、多門さんは網の段を披露してくださって、本番の舞台がますます楽しみに。
両曲ともそれぞれのシテの個性にとても合っているように感じました。
最後はみんなでおなかの底から「千秋楽は民を撫で」と謡って、大満足。
(去年正月の国立能楽堂公演で多門さんの指導で「高砂や~」を謡ったことを思い出します。)
目にも心にも楽しくて、勉強になる講座でした!
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